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堀口恭司を育てた「一期倶楽部」 世界級の踏み込みを生んだ足利の空手道場

EasyFight運営
堀口恭司を育てた「一期倶楽部」 世界級の踏み込みを生んだ足利の空手道場

UFCでタイトルマッチを経験し、RIZINとBellatorで王座を獲得してきた堀口恭司

その強さを語る際には、山本“KID”徳郁が率いたKRAZY BEEや、米国の名門アメリカン・トップチームが注目されることが多い。

しかし、堀口の代名詞となった遠い間合いからの踏み込みや、攻撃後に素早く距離を取り直す動き、そして体格差を補う技術と「前進あるのみ」という精神を形作った大きな原点の一つが、栃木県足利市にある空手道場「一期倶楽部」にある。

青少年育成を目的に生まれた足利の道場

一期倶楽部は「いちごくらぶ」と読み、2004年1月に設立された。

青少年育成を目的とし、空手道を通じて礼儀作法や思いやり、協調性を育むことを大切にしている道場だ。
「燃えろ」「前進あるのみ」を合言葉に、現在も子供たちが日々稽古を続けている。

一期倶楽部の館長を務め、堀口を指導したのが、空手の師匠となる二瓶弘宇氏だった。

堀口は5歳から空手を始め、中学1年生の頃に一期倶楽部へ入門した。
当時住んでいた群馬県高崎市から足利市までは、車で片道約1時間、往復約2時間かかったという。
それでも父親の運転で道場へ通い、厳しい稽古を積み重ねた。

入門当初に味わった完敗

堀口にとって、一期倶楽部でのスタートは決して順調なものではなかった。

一期倶楽部へ入門した当初、二瓶弘宇氏の三男であり、堀口と同い年だった二瓶孔宇と対戦。
勝てると思っていた堀口だったが、一方的に攻撃を受け、完敗した。

しかし、この完敗が堀口の負けず嫌いな性格に火をつけた。
「いつか絶対に勝つ」という思いから本気で練習するようになり、自分が強くなっていく感覚がたまらなかった。
嫌々続けていた空手に夢中になり、本気で取り組む転機となった。

後に世界で戦う堀口の闘争心は、勝利の喜びではなく、一期倶楽部で味わった悔しい敗北から生まれた。

MMAにも通じた「二瓶空手」

一期倶楽部で行われていたのは、伝統派空手を基本としながら、防具を着用して顔面への直接打撃も取り入れる実戦的な稽古だった。

通常のポイント制競技だけでは経験しにくい、実際に攻撃を当てられる恐怖や、実際に打撃が当たる状況での攻防を少年時代から経験したことは、後に総合格闘技へ進んだ堀口にとって大きな財産となった。

二瓶弘宇氏が堀口に求めたのは、身長やリーチで上回る相手に対し、いかに遠い位置から速く踏み込むかということだった。

ただ前へ飛び込むだけではない。
攻撃を決めた後は、相手の反撃を受けない位置まで素早く戻る。
入る速さと離れる速さを組み合わせ、試合の間合いを自分で支配する。

堀口は、遠い間合いから一気に距離を詰める動きについて、伝統派空手で培ったものだと説明している。

MMAではパンチだけでなく、タックルや組み技にも対応しなければならない。
その中で、相手の射程外から一気に距離を詰め、攻撃後には再び離れる堀口のスタイルは大きな武器になった。

世界で知られる堀口のステップは、MMAジムで突然生まれたものではない。
足利の道場で繰り返した空手の稽古を、総合格闘技へ適応させたものだった。

技術だけではなく人生を教えた師匠

堀口は二瓶弘宇氏について、空手だけでなく人生そのものを教わった存在だと語っている。

二瓶氏は2018年7月15日、闘病の末に亡くなった。
堀口は亡くなる直前に病室を訪れ、その約2週間後に行われたRIZIN.11で扇久保博正と対戦。
悲しみを抱えながら判定勝利を収めた。

師匠から繰り返し伝えられたのが、「燃えろ」「前進あるのみ」という言葉だった。

苦しい場面でも下がらず、目の前の課題に向かって進む。
大けがや敗戦から何度も復活してきた堀口の姿には、二瓶氏から受け継いだ精神が表れている。

同級生の二瓶孔宇が道場を継承

二瓶弘宇氏の死後、一期倶楽部を引き継いだのが三男の二瓶孔宇だ。

堀口を入門当初に打ち負かした二瓶孔宇は、ライバルであり、現在は空手の技術を確認するパートナーとして堀口を支える盟友となった。

二瓶孔宇は堀口のスパーリングパートナーやセコンドも担当。
2019年に堀口がBellatorのダリオン・コールドウェルと再戦した際には、米国ニューヨークまで同行し、マイク・ブラウンらとともにコーナーに入った。

道場では仕事と指導を両立しながら、子供たちに空手と礼儀を教えている。
父が築いた道場と「二瓶空手」は、次の世代へと受け継がれている。

堀口だけでは終わらない一期倶楽部

一期倶楽部は、過去に堀口恭司を輩出しただけの道場ではない。

現在も少年空手の大会で結果を残しており、2025年の栃木県少年秋季大会では、小学生団体組手5、6年の部で優勝。
優勝メンバーは学年区分をまたいで3年連続の頂点に立った。

堀口も日本へ戻った際には一期倶楽部を訪れ、空手の動きを確認している。
自分を育ててもらった場所への感謝と、世界のベルトを獲得して恩返ししたいという思いは、現在も変わっていない。

世界的なMMAファイターとなっても、原点は変わらない。

堀口恭司の強さは、KRAZY BEEで磨いた総合格闘技、アメリカン・トップチームで学んだ世界最高水準の技術、そして一期倶楽部で身につけた空手によって作られた。

遠い間合いから一瞬で懐へ入り、攻撃を当てて離れる。

体格差を言い訳にせず、何度倒されても前へ進む。

堀口恭司という世界的ファイターの土台を作った一期倶楽部は、現在も足利の地で子供たちを育て続けている。
次の世界的選手が生まれる場所も、こうした地域に根差した道場なのかもしれない。

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