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マーカス・アルメイダはなぜUFCで苦戦しているのか ONEで勝てた柔術王者に起きた壁

tyamat
マーカス・アルメイダはなぜUFCで苦戦しているのか ONEで勝てた柔術王者に起きた壁

マーカス・アルメイダ、通称"ブシェシャ"。

日本のMMAファンにはまだ馴染みが薄い名前かもしれない。
だが、柔術界では特別な存在だ。
ONE Championship公式は、アルメイダを「17度のBJJ世界王者」と紹介しており、特に無差別級で6度世界王者になった実績は、柔術界でも歴史的な記録として扱われている。

簡単に言えば、寝技の世界ではレジェンド級。
MMAに転向した時点で、大きな期待を集めたのは当然だった。

実際、アルメイダはONE Championshipでは結果を出していた。
Sherdogの戦績によれば、ONEではアンダーソン"ブラドック"シウバ、カン・ジウォン、サイモン・カーソン、キリル・グリシェンコをいずれも1ラウンドでフィニッシュ。
2024年にはアミール・アリアックバリにもリアネイキッドチョークで一本勝ちしている。
一方で、オマール・ケインには判定で敗れており、ONE時代のMMA戦績は5勝1敗だった。

つまり、アルメイダは「柔術だけではMMAで勝てなかった選手」ではない。
むしろONEでは、柔術の強さをMMAの中でしっかり勝利につなげていた選手だ。

だからこそ、UFCでの苦戦はより興味深い。

UFCでは0勝2敗1分 なぜ勝てないのか

アルメイダはUFCに参戦してから、まだ勝利を挙げられていない。

Tapology上の戦績では、現在のMMA戦績は5勝3敗1分。
UFCでは0勝2敗1分となっている。
直近では2026年4月25日のUFC Fight Nightでライアン・スパンに2ラウンドKO負けを喫した。

この数字だけを見ると、「やはり柔術家はUFCでは厳しい」と言いたくなるかもしれない。

しかし、それは少し雑な見方だ。

UFCで勝てない理由を、単純に「柔術が通用していない」だけで片付けるのは違う。
問題は、UFCの相手が、アルメイダを柔術の土俵に長く置いてくれないことにある。

ONE時代のアルメイダは、相手を倒して上を取り、そこから早い段階で極める形が多かった。
勝利のほとんどが1ラウンド決着だったことからも分かるように、相手が一度グラウンドで不利な形になると、そのまま逃げ切れなかった。

しかしUFCでは、同じ形が簡単には続かない。

倒されてもケージを使って立つ。
バックを取られかけても正対する。
極めに入られる前にスクランブルを作る。
組み際ではフロントヘッドロックやアンダーフックで止める。
そして、離れ際に打撃を当てる。

この「柔術に入らせない」「入られても長く付き合わない」部分で、UFCの相手は一段階うまい。

スパン戦で見えた"UFCの壁"

ライアン・スパン戦は、その典型だった。

スパンは序盤のグラップリングの危機をしのぎ、2ラウンドに左から右のコンビネーションを当て、最後の右でアルメイダをKOした。
序盤にアルメイダが早い段階でグラウンドに持ち込み、バックを狙ったが、スパンが耐えてスクランブルで逃げた。

ここが重要だ。

アルメイダは何もできなかったわけではない。
自分の得意な形に入りかけていた。

しかし、スパンはそこで終わらなかった。
完全に背中を許さず、極めの形に入る前に逃げた。
そして時間が経つにつれ、アルメイダは消耗していった。

時間が経つにつれてアルメイダは消耗し、スパンがフロントヘッドロックなどでスクランブルを強制していった。

この試合で見えたのは、柔術の弱さではない。
柔術に持ち込むまでのMMAの難しさだ。

ONEで勝てた理由、UFCで止められる理由

ONEでのアルメイダは、相手を倒して上を取れば、一気に試合を終わらせることができた。

それは柔術の完成度が圧倒的だったからだ。
上を取れば重い。
ポジションを進めるのが速い。
首、背中、足、どこからでもフィニッシュできる。

ただ、UFCでは相手がそこに付き合わない。

UFCのヘビー級選手たちは、必ずしも柔術でアルメイダより上というわけではない。
しかし、MMAとしての防御がうまい。

倒されないための距離管理。
ケージ際での体の向き。
倒された後の立ち上がり。
組みを切った直後の打撃。
そして、アルメイダが前に出る瞬間へのカウンター。

この部分で差が出ている。

つまり、UFCでの苦戦は「柔術が通用しない」ではなく、
柔術に入るまでの打撃・レスリング・ケージレスリング・スタミナ管理で削られている
と見るべきだ。

問題は"寝技の強さ"ではなく"寝技に持ち込む設計"

アルメイダの柔術が危険であることは、UFCの相手も分かっている。
だからこそ、相手は徹底してそこを避ける。

ここで問われるのは、寝技そのものの強さではない。

どうやって相手をケージに詰めるのか。
どうやって打撃で相手の足を止めるのか。
どうやってタックルを読まれないように入るのか。
倒した後、どうやってケージを使わせずに固定するのか。
一度逃げられた後、どれだけスタミナを残して次の展開に入れるのか。

この"接続部分"が、UFCではまだ足りていない。

ONEでは、柔術の強さが早い段階で試合を決めることができた。
だがUFCでは、相手がその一歩手前で止めてくる。
あるいは、一度危ない形になっても、完全に捕まる前に逃げる。

だからアルメイダは、得意な局面に入るまでに体力を使わされる。
入りかけても逃げられる。
そしてスタンドに戻された時、ヘビー級の一発を被弾する。

スパン戦のKO負けは、その流れの中で起きたものだった。

柔術界のレジェンドだからこそ、UFCでの課題がはっきり見える

アルメイダは、柔術家としての実績だけで語れば別格だ。

だからこそ、UFCで勝てない理由を「柔術がダメだから」と片付けるのは違う。
むしろ柔術が強すぎるからこそ、相手はそこを徹底して消しにくる。

UFCで勝つためには、柔術の強さに加えて、相手をそこへ連れていくためのMMA全体の設計が必要になる。

打撃でプレッシャーをかける。
相手を下げさせる。
ケージを背負わせる。
組みを切られてもすぐに再び組む。
倒した後は、相手の立ち上がりを先読みして潰す。

この部分を改善できれば、アルメイダはUFCヘビー級でもまだ危険な武器を持つ選手として残れる。
逆にそこが改善されなければ、UFCでは今後も同じ課題にぶつかる可能性が高い。

アルメイダの苦戦は、UFCのレベルを示している

マーカス・アルメイダはONEで勝っていた。
柔術の力をMMAで証明していた。
それでもUFCでは、まだ勝てていない。

この事実は、アルメイダが弱いという話ではない。

UFCでは、相手がアルメイダの武器を警戒したうえで、倒されても長く寝技に付き合わず、早い段階で立ち上がる対応をしてくる。
そして、スタンドに戻った瞬間に試合を終わらせる打撃がある。

アルメイダのUFCでの苦戦は、柔術の限界ではなく、MMAの総合力の厳しさを示している。

寝技の世界で頂点を極めた男でも、UFCではそこにたどり着くまでの道を塞がれる。
ONEで勝てた柔術王者が、UFCではなぜ苦しむのか。

その答えは、柔術そのものではなく、
柔術に持ち込ませないUFCの相手の対応力にある。

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