マルシルリー・アウベスとは何者か 井上直樹がPFLで対戦する"叩き上げのブラジリアン"

井上直樹がPFLで対戦するマルシルリー・アウベス。
日本のファンにはまだ馴染みが薄いかもしれないが、PFLで結果を残してきた実力者だ。
ブラジル出身のバンタム級ファイターで、ニックネームは「Durin」。
現在はブラジル・サンパウロ州バウルを拠点に、名門Chute Boxeの流れを汲むChute Boxe João Emilioでトレーニングを積んでいる。
PFL公式プロフィールでは、戦績15勝4敗、PFLでは3戦全勝。
身長5フィート4インチ、リーチ66インチと、バンタム級の中でもコンパクトな体格の選手だ。
叩き上げのキャリア
アウベスのキャリアは、ブラジル国内の舞台から始まった。
出身はブラジル北部パラー州のエルドラド・ドス・カラジャス。
いきなりメジャー団体に上がった選手ではなく、まずはブラジルのローカルシーンで経験を積み、勝ち星を重ねてきた叩き上げのファイターである。
ブラジル時代には11勝3敗の戦績を残し、Jungle Fightバンタム級王者の実績を持って、2023年にBellatorへ参戦した。
Jungle Fightは、ブラジルMMAにおいて多くの選手が上を目指す登竜門のような舞台だ。
アウベスはそこでベルトを巻き、海外メジャー団体へ進んだ。
つまり、彼は突然PFLで出てきた選手ではなく、ブラジル国内で実績を作り、Bellatorを経由してPFLへたどり着いた選手である。
打撃で倒すファイトスタイル
ファイトスタイルの最大の特徴は、打撃によるフィニッシュ力だ。
15勝のうち10勝がKO/TKO、一本勝ちはなく、判定勝ちは5つ。
数字から見ても、アウベスは寝技で極めるタイプではなく、打撃で相手を削り、倒すタイプのファイターだ。
特に近距離での打ち合い、前に出ながら圧力をかける展開に強みがある。
過去の敗戦にはサブミッション負けも含まれている。
Bellator時代のインタビューでも、相手のグラップリングを警戒し、グラウンドやレスリングの強化に取り組んでいると語っていた。
過去には組みやグラウンドで苦しんだ試合もあり、井上にとってはそこを突けるかが重要なポイントになる。
PFLトーナメントでの快進撃
アウベスの評価を一気に押し上げたのが、2025年のPFLバンタム級トーナメントだった。
もともとアウベスは、このトーナメントの中心選手として扱われていたわけではない。
当初はオルタネートとしてアーリープレリムに出場予定だったが、欠場や直前の交代劇が重なり、急きょメインイベントに抜てきされた。
そこでレアンドロ・ヒーゴ(Leandro Higo)にスプリット判定で勝利し、続く準決勝ではジェイク・ハドリーにも判定勝ち。
誰もが本命視していたわけではない立場から、決勝まで勝ち上がった。
決勝ではジャスティン・ウェッツェルを相手に5ラウンドを戦い抜き、判定勝ちで2025年PFLワールドトーナメント・バンタム級王者となった。
PFLでの3勝はすべて判定勝ちだが、メジャー団体のトーナメントで強豪相手に勝ち切れる選手になったということだ。
KO型でも判定で勝ち切れる選手
もともとはKO/TKO勝利の多いストライカーだが、PFLでは3試合連続で判定勝ち。
倒すだけでなく、競った展開を拾い切る勝負強さも見せている。
アウベスは序盤から倒しに来る怖さを持ちながら、長い試合でも簡単には崩れない。
井上直樹戦を見るうえでも、ここは重要なポイントだ。
井上直樹が警戒すべきこと
井上にとって警戒すべきなのは、やはりアウベスの圧力とパンチだ。
身長では井上の方が上回るが、アウベスは低い重心から前に出て、近い距離で強い打撃を当ててくる。
井上が距離を保ち、自分のタイミングで組みやスクランブルに持ち込めるか。
それともアウベスが距離を潰し、打撃戦の時間を増やすのか。
試合の流れはそこで大きく変わる。
マルシルリー・アウベスは、派手なスターとして作られた選手ではない。
ブラジルのローカルシーンで勝ち上がり、Jungle Fight王者となり、Bellatorを経て、PFLでチャンスをつかんだ。
補欠的な立場からトーナメント王者まで駆け上がったキャリアは、まさに叩き上げの実力者だ。
井上直樹がPFLで向き合うのは、知名度だけで測れない実力者である。
アウベスは、ブラジルMMAの土壌で育ち、打撃の破壊力と勝負強さで世界の舞台に出てきた選手だ。
井上戦は、日本のトップファイターが2025年PFLワールドトーナメント王者とぶつかる一戦である。
日本のファンにとっても、マルシルリー・アウベスというファイターの実力を知る試合になる。
大会情報
大会名:PFL Brussels
試合日:2026年5月23日(土)
配信:ESPN App(東部時間午後3時/日本時間5月24日(日)午前4時 予定)
この記事をシェア


