平良達郎、日本人男子初のUFC王座へ ヴァンとのフライ級タイトルマッチ

日本格闘技にとって、歴史的な一戦が迫っている。
UFCフライ級タイトルマッチ、ジョシュア・ヴァン vs 平良達郎。
舞台は、アメリカ・ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターで開催されるUFC 328のコメインイベント。
現王者ヴァンにとっては初防衛戦、平良にとっては日本人男子初のUFC世界王者を懸けたタイトル挑戦となる。
試合はアメリカ現地時間2026年5月9日、日本時間では5月10日に行われる予定だ。
平良達郎 グラップリングの深みと総合的な進化
平良達郎は、日本MMAが何度も届きかけて、まだ届いていないUFCの正規王座に挑む。
修斗王者として日本で実績を積み、UFC参戦後もフライ級で着実に勝利を重ねてきた。
ブランドン・ロイバル戦でキャリア初黒星を喫したものの、そこから崩れず、ヒョンソン・パク、ブランドン・モレノを相手に勝利を重ねてタイトル挑戦へたどり着いた。
ロイバル戦は5ラウンドのスプリット判定にもつれ込んだ接戦で、敗れたとはいえ、世界トップクラスと渡り合えることを示した試合でもあった。
今回のタイトルマッチで問われるのは、単に「日本人がUFCのベルトを巻けるか」だけではない。
平良が、ヴァンとともに動き始めた新世代フライ級の中心に立てるかどうかだ。
平良の武器は、やはりグラップリングだ。
バックを取る技術、相手の動きに合わせてポジションを移行する柔らかさ、そして一度捕まえたら逃がさない極めの強さがある。
フライ級のスピードの中で、ここまで相手の背中を奪い、試合を支配できる選手は多くない。
一方で、平良はすでに「寝技だけの選手」ではなくなっている。
打撃の距離、カーフへの対応、組みに入るまでの作り方、そして5ラウンドを戦うペース配分。
UFCでの経験を重ねる中で、5ラウンドを見据えた戦い方、打撃から組みへのつなぎ、スクランブルでの対応力を磨いてきた。
ヴァン自身も、平良を単なるグラップラーではなく、打撃も伸びている総合的なファイターとして警戒している。
ジョシュア・ヴァン 若き王者に訪れる最初の試練
対するジョシュア・ヴァンは、今のUFCフライ級で最も勢いのある若き王者だ。
ヴァンは2025年に一気に階級の景色を変えた。
鶴屋怜、ブルーノ・シウバ、ブランドン・ロイバルらに勝利し、短期間でトップ戦線へ突き進んだ。
特にロイバル戦は、打ち合いの強さ、タフネス、試合終盤でも落ちないスタミナを見せた試合だった。
ただし、王者としての立場にはまだ複雑な空気もある。
ヴァンはUFC 323でアレッシャンドレ・パントージャを下して王座を獲得したが、その試合は、パントージャが蹴りを放った後の転倒で腕を負傷し、わずか26秒で終わった。
正式な勝利であることに変わりはないが、王者としての「完全な証明」という意味では、今回の平良戦こそが本当の初試験になる。
ヴァンにとって、この試合の意味は明確だ。
特殊な形でベルトを巻いた王者ではなく、自分の実力でフライ級の頂点に立つ選手だと示すこと。
パントージャとの再戦が今後の選択肢として浮上するとしても、その前に平良を退けなければ、王者としての物語は始まらない。
試合の鍵となる組みと打撃の攻防
この試合の最大の見どころは、ヴァンの打撃と平良の組みの攻防になる。
ただし、平良は打撃を伸ばし、ヴァンもテイクダウンディフェンスに自信を持つだけに、単純なストライカー対グラップラーでは終わらない。
ヴァンは手数が多く、前に出ながら相手を削る。
単発の一撃だけではなく、コンビネーション、圧力、被弾しても打ち返すタフネスで試合を動かしてくる。
平良が距離を誤れば、ヴァンのパンチの回転に飲み込まれる危険がある。
平良はその打撃の圧力をどう処理するかが鍵になる。
正面で長く付き合いすぎず、打撃を見せながら組みに入る。
ケージ際で動きを止め、スクランブルで上を取り、バックへ回る。
平良が得意の展開に持ち込めば、ヴァンにとっては一瞬のミスが命取りになる。
逆に、ヴァンがテイクダウンを切り続け、平良を打撃戦に引きずり込めば、試合は王者ペースになる。
平良が組みに入れない時間が長くなればなるほど、ヴァンの圧力と手数が効いてくる。
平良にとっては、序盤から「この試合は自分が組める」という感触を作り、ラウンドを重ねる中でどこまで修正を加えられるかが重要だ。
日本MMAの歴史を変える一戦
平良にとって、この試合は日本MMAの歴史を変える一戦になる。
UFCでは堀口恭司、岡見勇信、宇野薫らがタイトルに挑み、桜井「マッハ」速人や五味隆典らも世界の頂点を意識させる存在だった。
しかし、UFCの正規王座を日本人男子が巻く瞬間はまだ訪れていない。
平良がヴァンを破れば、その歴史に初めて名前を刻むことになる。
そして、その先にはさらに大きな物語も見えている。
平良が王者になれば、UFC日本大会の機運や、日本フライ級をめぐる大きな物語も一気に膨らむ。
もちろん、まず越えなければならないのはジョシュア・ヴァンだ。
若く、勢いがあり、打撃で前に出続ける王者。
王座獲得の経緯に疑問の声も残る中で、だからこそ初防衛戦で強さを証明しようとしている。
平良にとっては、これまで積み上げてきた技術、経験、修正力のすべてが問われる相手になる。
ジョシュア・ヴァン vs 平良達郎。
これは、王者の正当性を懸けた初防衛戦であり、日本人男子初のUFC王者誕生が懸かった歴史的一戦でもある。
そして同時に、パントージャ時代の続きにある、新世代フライ級の主役を占う試合でもある。
平良達郎が、ついに日本にUFCのベルトを持ち帰るのか。
それともジョシュア・ヴァンが、若き王者としてフライ級の未来を自分のものにするのか。
日本時間5月10日、UFCフライ級の歴史が動く。
大会情報
■ UFC 328
日時:2026年5月10日(日)日本時間
日本配信:UFC Fight Pass、U-NEXTほか
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