トム・アスピナルが両目に3度の手術 アイポーク後の批判に「自分は土曜夜の娯楽」

UFCヘビー級王者トム・アスピナル(Tom Aspinall)が、シリル・ガヌ(Ciryl Gane)戦で負った目の負傷と、その後に受けた3度の手術について語った。
アスピナルは現地時間2025年10月25日に開催された「UFC 321」でガヌと対戦。
第1ラウンド終盤、偶発的なアイポークを受けて試合続行が不可能となり、4分35秒でノーコンテストとなった。
左目を1度、右目を2度手術
アスピナルによると、負傷後には左目を1度、右目を2度、合計3度の手術を受けたという。
手術では目の周辺に麻酔を受けたものの、本人の意識はある状態だった。
まぶたを器具で開いたまま、医師が目を処置する様子が見えていたと説明している。
アスピナルは過去に受けたパイプカット手術と比較し、目の手術の方がはるかにつらかったと振り返った。
「目の手術に比べれば、パイプカットなんて何でもない、本当にひどい経験だった」
意識がある状態で目を固定され、医療器具が近づいてくる状況は、これまで経験した手術の中でも特に苦しいものだったという。
両目に外傷性ブラウン症候群
ガヌ戦後、アスピナルは両目の外傷性ブラウン症候群と診断された。
本人が公開した診断内容では、物が二重に見える複視、眼球運動の低下、視機能の低下、大幅な視野欠損などが確認されていた。
ブラウン症候群は、眼球を上方向へ動かすことが難しくなる疾患だ。
アスピナルは医師の指示に従い、負傷後はMMAのトレーニングを中断していた。
特に負傷から最初の2週間は、視力が元に戻らない可能性を恐れていたという。
ヘビー級王者としての復帰だけでなく、日常生活にも関わる深刻な問題に直面していた。
試合続行できなかった判断に批判
ガヌ戦の終了後には、アスピナルが試合から逃げた、続行できたはずだとする批判も寄せられた。
アスピナルは、現在も同様のコメントが届くと説明。
目に深刻な損傷を負い、視力を失う可能性まで考えていた状況で、試合を続けなかった判断を非難されたことへの思いを語った。
「誰かと戦っているとき、自分は土曜の夜の娯楽にすぎない。
観客は自分たちが金を払った試合を見たい。
それが現実なんだ」
観客が選手個人の事情よりも試合の続きを求めることは理解しているとしながらも、スマートフォンの向こうからプロ格闘家の勇気や精神力を批判する人々に反論した。
トップレベルの選手がオクタゴンに立つまでに積み重ねてきた準備や、試合中に背負う危険を知らないまま、続行不能となった判断を簡単に非難するべきではないとの考えを示している。
フルトレーニングに復帰、ガヌとの再戦へ
アスピナルは負傷直後、目の状態が完全に回復し、医師から許可を得るまでは復帰しない姿勢を示していた。
その後、3度の手術とリハビリを経て、2026年6月にはフルトレーニングへの復帰を発表。
ガヌとの再戦に向けて練習を再開し、次戦についてUFCと話し合っていることも明かした。
アスピナルが離脱している間に、ガヌはアレックス・ペレイラ(Alex Pereira)を破り、UFCヘビー級暫定王座を獲得した。
アスピナルは正規王者として王座を保持しており、再戦が実現すれば王座統一戦となる。
アスピナルは過去にセルゲイ・パブロビッチ(Sergei Pavlovich)を第1ラウンド1分9秒、カーティス・ブレイズ(Curtis Blaydes)を第1ラウンド1分で破るなど、UFCヘビー級屈指の決定力を見せてきた。
深刻な目の負傷と3度の手術を乗り越え、再び本格的なトレーニングに戻ったアスピナル。
正規王者と暫定王者として迎えるガヌとの再戦が、ヘビー級の頂点を決める一戦となる。

