【UFC 328】チマエフvsストリックランド徹底プレビュー

2026年5月9日(日本時間5月10日)、米ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターで『UFC 328: Chimaev vs. Strickland』が開催される。
メインを飾るのは、無敗のまま王座に君臨するハムザット・チマエフと、毒舌で知られる元王者ショーン・ストリックランドによるUFC世界ミドル級タイトルマッチ。
さらにセミファイナルには、日本人初のUFC世界王者を懸けた平良達郎 vs ジョシュア・ヴァンの世界フライ級タイトルマッチも組まれ、2本の世界戦を含む14試合の超ビッグカードとなる。
本記事では、メインイベントの見どころを中心に、両者のスタイル・戦績・因縁の背景、さらにはUFC 328全体のカード構成までを徹底解説する。
大会概要
- 大会名:UFC 328: Chimaev vs. Strickland
- 開催日:2026年5月9日(土・現地時間)/日本時間5月10日(日)
- 会場:プルデンシャル・センター(米ニュージャージー州ニューアーク)
- 配信:Paramount+(米国)、U-NEXT/UFC Fight Pass(日本)
- 試合数:全14試合
メインイベント:チマエフ vs ストリックランド ― 因縁の爆発
無敗の怪物・チマエフ、初防衛戦
チマエフ(15勝0敗)は、2025年8月の『UFC 319』でドリカス・デュ・プレシスを判定(50-44×3)で圧倒し、ミドル級王座を奪取した。
この試合でチマエフはUFC史上最多となる1試合529発のストライクをランディングし、デビュー以来の無敗記録を15に伸ばした完璧な戴冠劇だった。
デュ・プレシス戦ではテイクダウンを12回成功させ、25分間のうち21分40秒ものコントロールタイムを記録。
圧倒的なレスリングベースでオクタゴンを支配する様は、まさに「最強王者」の称号に相応しい内容だった。
チマエフは1994年生まれのチェチェン出身。
フリースタイルレスリングでスウェーデン国内王者に3度輝いた経歴を持ち、2020年のUFCデビュー戦から派手な勝ち上がりを見せてきた。
デビューからわずか10日間で2勝を挙げた「現代UFC最速連勝記録」や、カマル・ウスマン、ロバート・ウィテカー、デュ・プレシスという3人の元王者から勝利をもぎ取ってきた実績は、"ボルツ(Borz=狼)"のニックネームにふさわしい。
ただし、ここ数年は病気や負傷、ビザ問題で出場ペースが落ちており、今回のストリックランド戦は戴冠後初の防衛戦となる。
帰ってきた"問題児"、ストリックランド
対するストリックランド(30勝7敗)は、2023年9月にイスラエル・アデサニヤを判定で下してミドル級王座を獲得した元王者。
その後、デュ・プレシスに2度連敗するなどムラのある成績が続いていたが、2026年2月21日のUFC Houstonでアンソニー・エルナンデスを3ラウンドTKOで撃破。
これは約3年ぶりのフィニッシュ勝利で、試合後に「チマエフを倒したい」とストレートに挑戦を表明。
念願のタイトル挑戦にこぎつけた格好となる。
ストリックランドといえば、常に話題を振りまく"問題児"キャラクターでも知られる。
過去にはデュ・プレシスとの初戦前、観客席を飛び越えて本人に掴みかかろうとした事件もあり、今回の因縁マッチを前にDana White CEOは「とにかく接触を避ける。ホテルも別々、フェイスオフもやらない」と発表。
大会週のセキュリティを大幅に強化する対応に追われている。
因縁の発端はスパーリング時代
両者の確執は5年前のラスベガスに遡る。
ストリックランドが所属するXtreme Coutureで、2021年頃に両者は約1か月間スパーリングを行っていた。
ところが、この時期のスパーリング内容について両者の証言は食い違っている。
ストリックランドは「俺が叩きのめした」と主張し、一方のチマエフは「俺がテイクダウンで圧倒した」と反論。
コビントンらジム関係者の間でも証言が割れており、どちらが真実かは今もって不明だ。
現在もこの因縁は続いており、Houston大会後のストリックランドの暴言に対しチマエフはSNSで応戦。
互いに相手を「アメリカン・〇〇」「チェチェン・〇〇」とののしり合う泥仕合の様相を呈している。
ストリックランドのコーチ、エリック・ニックシックも「この試合は他のライバル戦とは違うムードがある。感情的な試合になりすぎないか心配だ」とコメント。
アデサニヤ戦、デュ・プレシス戦以上のバッドブラッドマッチになることは確実だ。
スタイル対決の論点:レスリング vs プレッシャーボクシング
試合のキーとなるのは、両者のスタイルがいかに噛み合うかだ。
チマエフの武器は、言わずと知れたトップクラスのレスリング。
デュ・プレシス戦では17回のテイクダウン試行中12回を成功させ、"ブランケット"と形容されるほど相手を封じ込めるコントロール力を見せた。
加えて、オーソドックスからの重いパンチも持ち、過去にはジェラルド・ミーアシャートをわずか17秒でKOした実績もある。
ストライキングとグラップリングのフェイントを織り交ぜて相手を崩すスタイルは、まさに現代MMAのトップティアだ。
ストリックランドの武器は、フィリーシェル(左手をあごに、右手をミゾオチに構えるディフェンス重視のスタイル)から繰り出す的確なジャブとストレートの連打。
前に出ながらプレッシャーをかけ、クリーンヒットを積み重ねる判定巧者で、アデサニヤ戦ではこの戦法で王座を奪取した。
一方で、テイクダウンディフェンスは決して高くなく、デュ・プレシスとの2戦ではテイクダウンを許す場面が多かった。
この点は、レスラー・チマエフ相手には大きな不安材料だ。
過去の予想を見ると、UFC元ウェルター級コンテンダーのコルビー・コヴィントンは「チマエフはストリックランドをテイクダウンして極めるか、25分間抑え込むだけ。ストライカー戦にはしないはず」と完全にチマエフ有利を予想。
ブックメーカーのオッズも大きく王者に傾いている。
ただし、ストリックランドの強みは異常なタフさと試合を進めるにつれて加速するペース。
チマエフは過去にカーディオ面の課題を指摘されてきたこともあり、ストリックランドが序盤のテイクダウンを凌ぎきれば、中盤以降にチャンスが生まれる可能性はゼロではない。
セミファイナル:平良達郎 vs ジョシュア・ヴァン ― 日本人初のUFC王者誕生なるか
メインに劣らず注目されるのが、世界フライ級タイトルマッチだ。
王者ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)と挑戦者・平良達郎(日本)が激突する。
当初この試合は4月11日の『UFC 327』で予定されていたが、ヴァンの軽度の負傷により、この『UFC 328』にスライドされた経緯がある。
平良(18勝1敗)はTHE BLACKBELT JAPAN所属で、2025年12月の『UFC 323』で元王者ブランドン・モレノをバックマウントからのパウンドで2ラウンドTKO。
この衝撃的な勝利でランキング5位から3位に浮上し、念願のタイトル挑戦権を獲得した。
勝てば日本人初のUFC世界王者となる歴史的な一戦であり、ヴァンはUFC男子初のアジア人王者なので、この試合自体もUFC史上初のアジア生まれ同士の男子タイトルマッチとなる。
ヴァンはデビュー戦こそ敗れたものの、そこから6連勝で昇格を重ね、2025年12月の『UFC 323』でアレシャンドレ・パントージャから王座を奪取したニューフェイス。
24歳の王者vs 26歳の挑戦者という若手対決の構図も魅力的だ。
スタイル的には、ヴァンの近距離パンチ交換主体のストライカースタイルと、平良の長い打撃から組みに持ち込むグラップラースタイルという、性格の異なる対照的なマッチアップとなる。
UFC 328 全カード一覧
メインカードとプレリミナリーカードを合わせて全14試合。
以下に主要カードをまとめる。
- メインイベント:ハムザット・チマエフ vs ショーン・ストリックランド(ミドル級タイトルマッチ)
- セミファイナル:ジョシュア・ヴァン vs 平良達郎(フライ級タイトルマッチ)
- コメインその他:
- アレクサンドル・ヴォルコフ vs ヴァルド・コルテス・アコスタ(ヘビー級)
- ショーン・ブレイディ vs ジョアキン・バックリー(ウェルター級)
- キング・グリーン vs ジェレミー・スティーブンス(ライト級)
- ヤン・ブラホヴィッチ vs ボグダン・グスコフ(ライトヘビー級)
- プレリム注目カード:
- アテバ・ゴーティエ vs オズマン・ディアス(ミドル級)
- ジョエル・アルバレス vs ヤロスラフ・アモソフ(ウェルター級)
- ロマン・コピロフ vs マルコ・トゥリオ(ミドル級)
- ジム・ミラー vs ジャレッド・ゴードン(ライト級)※ミラーはUFC通算46戦目で自身の記録を更新
特に記録面で注目されるのが、ジム・ミラーのUFC通算46戦目の出場。
これは彼自身が持つUFC最多出場記録をさらに更新する歴史的な一戦となる。
また、元ライトヘビー級王者ヤン・ブラホヴィッチの試合も、ベテラン勢の動向を測る意味で見逃せない。
編集部の見どころポイント
- 王者防衛か、ドラマチックな王座奪還か:チマエフの無敗記録更新が続くのか、それともストリックランドが2度目の戴冠を果たすのか。MMA史に残る一戦となる可能性が高い。
- "日の丸"がはためく瞬間を見逃すな:平良が勝利すれば日本MMA界の悲願となる「日本人初のUFC王者」誕生。歴史的瞬間を目撃するチャンス。
- 2本の世界戦を含む14試合のスタック性:メインもセミもタイトルマッチで、アンダーカードにも元王者・ランカーが多数。1大会の価値としては2026年屈指。
- 因縁マッチの緊張感:選手同士の接触を避けるため、UFCが異例のセキュリティ対応。大会週のメディアイベントから目が離せない。
まとめ:2026年前半のMMAシーンの総決算
『UFC 328』は、2本の世界戦を軸に据えた非常に密度の濃いカードとなっている。
メインのチマエフ vs ストリックランドは、スタイルの相性では王者有利とされつつも、両者の因縁と感情が絡み合うことでどちらに転ぶか読みきれない緊張感がある。
そしてセミの平良 vs ヴァンは、日本のMMAファンにとって"歴史が動く瞬間"を目撃できるかもしれない特別な一戦だ。
5月10日(日本時間)、プルデンシャル・センターから発信される激闘の行方を、当メディアでも試合前の選手インタビュー、試合結果速報、試合後の分析記事と、多角的にお伝えしていく予定だ。
ぜひブックマークして続報を待っていただきたい。
※本記事は2026年4月17日時点の情報に基づいて作成しています。試合カードや日程は変更になる可能性があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
この記事をシェア


