手塚裕之戦が噂されるルオトロの面白さ

ケイド・ルオトロの魅力は、ただ寝技が強いことではない。
より正確に言うなら、相手がわかっていても飲み込まれてしまう強さを持っていることだ。
ONEでは2022年の青木真也戦で強烈なインパクトを残し、同年のADCCでは77キロ級を制して史上最年少の世界王者になった。
さらに同年10月にはウアリ・クルジェフを極めて、初代ONEライト級サブミッショングラップリング世界王座も獲得している。
そこから止まらなかったことが、ルオトロをさらに面白くしている。
一発の話題ではなく、積み上げてきた実績
ONEでのルオトロは、実績の積み方がきれいだ。
青木に勝って終わりではなく、ONEのライト級サブミッショングラップリング王者として3度の防衛に成功した現王者として立っている。
トミー・ランガカーとの再戦を含めて防衛を重ねてきた選手であり、“ONEで継続して結果を出している王者”としてすでに確立されている。
MMAに踏み込んで、さらに不気味になった
それでも最近さらに面白く見えるのは、MMAに踏み込んだからだ。
ルオトロは2024年6月にMMAデビューを果たすと、ブレイク・クーパー、アハメド・ムジタバ、ニコラス・ビーニャを相手に3連続の1R一本勝ちを収めた。
プロMMA戦績は3勝0敗、すべてサブミッション勝ちだ。
グラップラーがMMAに来る例は珍しくないが、ここまで迷いなく自分の形を持ち込める選手は多くない。
ルオトロの場合は、寝技が強いというより、MMAに入っても試合を自分の競技に変えてしまう感じがある。
本人も、その移行をかなり大きな言葉で捉えている。
ONEのインタビューでは「MMAには自分レベルのグラップリングと柔術はまだなかったと思う」と話していて、謙遜よりも挑戦の意識が前に出ている。
大口に聞こえるが、ここまでの試合内容を見ると、ただのビッグマウスとも言い切れない。
立ち技の入りも含めて、MMAでの動きが思った以上にスムーズだからこそ、不気味さがある。
次の手塚裕之戦が、期待を試す一戦になる
日本のファン目線では、ルオトロは青木真也戦で名前を強く覚えた人も多いと思う。
ただ、いまのルオトロは“青木に勝った柔術家”ではもうない。
ONEは5月15日の「The Inner Circle」でルオトロが手塚裕之と対戦すると発表した。
相手の手塚は15勝6敗、ONEで7勝3敗、6つのフィニッシュを持ち、2025年11月には青木真也を2R TKOで破っている。
ルオトロがここを超えるなら、話は一気にタイトル挑戦の現実味まで進む。
史上最年少ADCC王者、ONEサブミッショングラップリング王者3度防衛、MMA3連続1R一本勝ち。
実績だけでも十分すぎるが、本当に面白いのはその先だ。
ルオトロは、グラップリングの感覚そのものをMMAに持ち込んで、競技の景色を変えようとしている途中の選手に見える。
次の手塚戦は、その期待が本物かどうかを見るにはかなりいい試合だ。
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