ONE Championshipが豪華カードを組める理由

ONE Championshipの大会には、どこかスケールの大きさがある。
ONEはMMA、ムエタイ、キックボクシング、サブミッション・グラップリングまで扱う団体であり、大会によって複数競技のカードが同じイベントに並ぶ。
ONE SAMURAI 1の大会全体を見ても、武尊、ロッタン、若松佑弥、吉成名高、与座優貴、ジョナサン・ハガティー、海人といった名前が並んだ。
格闘技ファンから見ると、ONEは「お金がある団体」という印象を持たれやすい。
では、なぜONEはこれほど豪華なカードを組めるのか。
その背景には、単なるチケット収入だけではなく、大型資金調達、放映権ビジネス、そして複数競技を扱う独自のブランド戦略がある。
大型資金調達を背景にしたグローバル展開
ONE Championshipの親会社であるGroup ONE Holdingsは、格闘技興行だけでなく、スポーツ・メディア企業として成長してきた。
そのスケールを語るうえで外せないのが、資金調達だ。
2021年12月、Group ONE Holdingsは1億5000万ドルの資金調達を行った。
このラウンドは、Guggenheim InvestmentsとQatar Investment Authority、いわゆるカタール投資庁が主導したものだった。
ONE公式は、Group ONE HoldingsをONE ChampionshipとONE Esportsを傘下に持つ「アジア最大級のグローバルスポーツメディアプラットフォーム」として説明している。
さらに2024年10月には、Bloombergが、Group ONE Holdingsがカタール投資庁を含む投資家から少なくとも5000万ドルを調達し、企業価値が少なくとも13億5000万ドルと評価されたと報じた。
この数字を見ると、ONEは単なる興行団体というより、投資家から「アジア発のグローバルスポーツ・メディア企業」として見られてきたことが分かる。
もちろん、資金調達はそのまま利益を意味するわけではない。
しかし、世界展開を進め、複数競技のスター選手を集め、大規模な大会を組むためには、大きな資本が必要になる。
ONEの豪華カードは、偶然できているわけではない。
その裏側には、グローバル展開を前提にした資金調達と、ブランド拡大への投資がある。
放映権ビジネスが大会の規模を支えている
ONEのスケールを支えるもう一つの柱が、放映権ビジネスだ。
ONEは2022年、Prime Videoと複数年契約を結び、アメリカとカナダで年間12大会をライブ配信する契約を発表した。
ONE公式はこの契約について、北米の視聴者にONEの大会を届ける大きな機会になると説明している。
さらに2023年には、イギリスとアイルランドでSky Sportsとの独占パートナーシップを発表。
Skyの放送・デジタルプラットフォームを通じて、ONEのライブイベントや関連番組を展開することになった。
日本でも、ONEはU-NEXTと独占配信パートナーシップを結んでいる。
2024年の発表では、MMA、ムエタイ、キックボクシング、サブミッション・グラップリングを含むONEの大会を日本のU-NEXTでライブ配信すると案内されている。
格闘技団体というと、会場のチケット収入やPPV収入をイメージしがちだ。
しかしONEの場合、大会は会場だけで完結するものではない。
世界中の放送・配信パートナーを通じて届けられる、映像コンテンツとしての性格が強い。
つまりONEは、アリーナで大会を開催するだけでなく、その大会を世界中に届けることで価値を作っている。
ONE SAMURAIは日本市場への本格展開
日本においても、ONEは大きな展開を進めている。
2026年2月、ONEは日本で新シリーズ「ONE SAMURAI」を立ち上げることを発表した。
ONE公式は、ONE SAMURAIの全大会をU-NEXTで独占ライブ配信し、5年間で60大会を開催する計画だと発表している。
これは単発の日本大会ではない。
日本市場に継続的に大会を届けるためのシリーズ展開だ。
ONE SAMURAI 1では、武尊のラストマッチとなるロッタンとのフライ級キックボクシング暫定世界タイトルマッチ、若松佑弥のMMA世界戦、吉成名高のムエタイ世界戦、与座優貴のキックボクシング世界戦などが組まれた。
さらに大会の模様は、4つの世界タイトル戦を中心に、フジテレビ系列全国ネットでディレイ放送されると発表された。
ここから見えてくるのは、ONEが日本を単なる海外開催地の一つとして見ているのではなく、重要な市場として継続的に育てようとしていることだ。
U-NEXTでのライブ配信、地上波での放送、そして日本人スターと世界の強豪を組み合わせたカード編成。
この組み合わせが、ONEの日本大会に大きなスケール感を与えている。
MMAだけではないことが、ONEの強み
ONEが豪華カードを組みやすい理由は、資金や放映権だけではない。
競技の幅広さも大きな強みだ。
UFCがMMAに特化した世界最大級の団体であるのに対し、ONEはMMAに加えて、ムエタイ、キックボクシング、サブミッション・グラップリングも大きく扱っている。
これにより、ONEは複数の格闘技ファンを同じ大会に引き込むことができる。
MMAファンは若松佑弥やデメトリアス・ジョンソンのような選手に注目する。
ムエタイファンはロッタン、スーパーレック、吉成名高を見る。
キックボクシングファンは武尊、ハガティー、与座優貴、海人に注目する。
グラップリングファンには、サブミッション・グラップリングのカードも届く。
この"競技の横断性"が、ONEの大会を豪華に見せている。
ひとつの大会の中で、MMA、ムエタイ、キックボクシングが次々に行われる。
ファンによって注目する競技は違っても、全体として大きなイベント感が生まれる。
これは、ONEならではの強みだ。
豪華カードはブランド拡大への投資でもある
ONEが豪華カードを組む理由は、単に派手な大会を作りたいからだけではない。
スター選手を集めることで、視聴者が増える。
視聴者が増えれば、放映権やスポンサーの価値が高まる。
大会の注目度が上がれば、選手にとっても出場する意味が大きくなる。
その結果、さらに良いカードを組みやすくなる。
つまり豪華カードは、ONEにとってブランドを大きくするための投資でもある。
武尊、ロッタン、若松佑弥、吉成名高、与座優貴、ジョナサン・ハガティー、海人。
こうした選手たちが同じ大会、同じブランドの中に並ぶことで、「ONEは大きな舞台だ」という印象は強くなる。
それは短期的な興行収入だけでは測れない価値だ。
選手の知名度を高め、団体のブランドを強くし、世界中のファンにONEを認識してもらう。
その積み重ねが、ONEのスケール感を作っている。
ONEは"お金がある団体"というより、"成長に投資している団体"
ONE Championshipがお金のある団体に見えるのは、間違いではない。
実際に、大型資金調達を行い、世界中の放送・配信パートナーと組み、豪華な大会を開催している。
ただし、それは単に手元資金を派手に使っているというより、成長のために大きく投資している団体と見る方が近い。
格闘技団体でありながら、メディア企業でもある。
スポーツイベントでありながら、世界向けの映像コンテンツでもある。
アジア発でありながら、北米やヨーロッパ、日本市場も視野に入れている。
この複数の顔を持っているからこそ、ONEは他の格闘技団体とは違うスケール感を生み出している。
ONE Championshipは、格闘技の見せ方を変えようとしている
ONE Championshipは、UFCとは違う形で世界を狙っている団体だ。
MMAだけに絞らず、ムエタイ、キックボクシング、グラップリングを含める。
アジアの格闘技文化を前面に出しながら、世界向けのコンテンツとして届ける。
大型資金調達と放映権ビジネスを活用し、スター選手を集め、大きな大会を作る。
だからONEは、格闘技ファンにとって「お金がある団体」に見える。
しかしその本質は、ただ資金力があるというより、格闘技を世界規模のメディアコンテンツとして広げようとしている点にある。
ONE SAMURAI 1のように、武尊、ロッタン、若松佑弥、吉成名高、与座優貴、ハガティー、海人といった選手が同じ大会に並ぶこと自体が、ONEのスケールを物語っている。
ONE Championshipは、ただの海外団体ではない。
アジアから世界へ、そして日本の格闘技ファンにも強く届き始めているグローバルブランドだ。
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