ONE SAMURAI 1直前③ 後半5試合は世界戦ラッシュ、武尊ラストマッチへ

2026年4月29日、東京・有明アリーナで開催される「ONE SAMURAI 1」。
全15試合の中でも、第11試合から第15試合までの後半戦は、まさに大会の核と言っていい。
マラット・グレゴリアン vs 海人、ジョナサン・ハガティー vs 与座優貴、吉成名高 vs ソンチャイノーイ、若松佑弥 vs アバズベク・ホルミルザエフ、そしてロッタン・ジットムアンノン vs 武尊。
ここから先は、一試合ごとに大会の主役が変わっていくような濃密な時間になる。
第12試合から第15試合までの4試合は、いずれも世界タイトルマッチとして組まれている。
メインイベントはロッタン vs 武尊のONEフライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦。
さらに、若松佑弥のフライ級MMA世界王座防衛戦、吉成名高のアトム級ムエタイ世界王座戦、ジョナサン・ハガティー vs 与座優貴のバンタム級キックボクシング世界王座戦が組まれている。
前半・中盤で日本人選手たちが大会の温度を上げ、後半で一気に世界レベルへ突入する。
ONE SAMURAI 1が単なる日本大会ではなく、ONEが日本で新たに始めるシリーズの第1回大会であることを考えると、この後半5試合には大きな意味がある。
第11試合 マラット・グレゴリアン vs 海人 因縁の決着、海人は世界トップ級の壁を越えられるか
第11試合は、マラット・グレゴリアン vs 海人のフェザー級キックボクシング。
ここから大会は、一気に世界レベルの空気へ入っていく。
このカードには、はっきりとした因縁がある。
両者は当初、2025年3月のONE 172で対戦予定だった。
しかし、グレゴリアンは前日計量でフェザー級リミットを0.75ポンド超過。
キャッチウェイトでの試合も提示されたが、海人側は試合を受けなかった。
そこから両者の間には言葉の応酬も生まれ、今回のONE SAMURAI 1でようやく決着の舞台が用意された。
グレゴリアンは、元GLORY世界王者として知られる世界的なストライカーだ。
強い圧力、距離を詰めた時の破壊力、相手を削りながら主導権を奪う試合運び。
ONEのフェザー級キックボクシングでもトップ戦線を狙う存在であり、海人にとっては間違いなくキャリア最大級の相手になる。
一方の海人にとって、この試合は単なる強豪撃破のチャンスではない。
日本のキックボクシングが、ONEのトップクラスにどこまで通用するのか。
それを示す試合でもある。
シュートボクシング協会の告知では、海人はエンリコ・ケールとの再戦、シッティチャイ・シッソンピーノン戦などを経て、KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級王座とRISEミドル級王座を返上し、ONE本格参戦へ向かったとされている。
つまり海人は、国内の肩書きに留まるのではなく、世界の中で自分を証明する道を選んだということだ。
見どころは、海人がグレゴリアンの圧力に対して、どれだけ自分の距離を作れるか。
真正面から打ち合えば、グレゴリアンの土俵になる可能性がある。
だが、海人がスピード、角度、蹴り、カウンターで相手の前進を止められれば、試合の流れは大きく変わる。
この試合は、後半戦の世界戦ラッシュに入る前の一戦でありながら、内容としてはタイトルマッチ級の重さがある。
海人がここで勝てば、ONEフェザー級キックボクシング戦線で一気に主役候補へ浮上する。
第12試合 ジョナサン・ハガティー vs 与座優貴 Team Vasileusが先に世界へ、与座は王者を崩せるか
第12試合は、ジョナサン・ハガティー vs 与座優貴のバンタム級キックボクシング世界王座戦。
ここから世界タイトルマッチが始まる。
ハガティーはONEを代表する王者の一人だ。
ONE公式は、ハガティーがONEバンタム級キックボクシング世界王者として、元K-1王者の与座優貴を相手に2度目の防衛戦を行うと紹介している。
ハガティーはただの王者ではない。
ムエタイでも世界の頂点に立ってきた選手であり、打撃の幅が非常に広い。
パンチ、ヒザ、蹴り、距離の作り方、試合の中で相手を読む力。
さらに、王者としての自信も強い。
試合前から与座に対して強気な発言を残しており、王者として迎え撃つ姿勢は明確だ。
一方の与座は、ONE参戦後に一気に評価を高めてきた。
ONE公式によれば、与座はキャリア22勝2敗、ONEでは3勝0敗、さらに13連勝中という流れでタイトル挑戦に臨む。
この数字が示す通り、与座は勢いだけの挑戦者ではない。
すでに結果を積み上げ、王者に挑む資格を自分の拳と蹴りで掴んできた選手だ。
この試合のポイントは、与座がハガティーのリズムを壊せるかどうか。
ハガティーに気持ちよく距離を作らせると、攻撃の選択肢が一気に増える。
与座としては、ローキック、前への圧力、細かい出入りで王者の足を止めたい。
逆にハガティーは、与座の圧力を利用してカウンターを合わせる展開を狙ってくるだろう。
そしてこの試合には、もう一つの見方がある。
与座は武尊と同じTeam Vasileusの選手だ。
メインイベントで武尊がラストマッチを迎える前に、与座が世界王座を奪えば、日本勢にとって大きな流れが生まれる。
武尊の最後へ向けて、Team Vasileusが先に世界のベルトを獲るのか。
この一戦は、後半戦の空気を大きく左右する。
第13試合 吉成名高 vs ソンチャイノーイ・ゲッソンリット 日本ムエタイの象徴が初防衛戦へ
第13試合は、吉成名高 vs ソンチャイノーイ・ゲッソンリットのアトム級ムエタイ世界王座戦。
日本格闘技界において、吉成名高という存在は特別だ。
日本人でありながらムエタイの本場で評価され、軽量級の技術、スピード、完成度で世界に名を示してきた。
ONE公式によれば、吉成はONEアトム級ムエタイ世界王者として、今回が初防衛戦。
さらにONEでは4勝0敗、40連勝中という驚異的な成績を持ってこの試合に臨む。
これは、単なる日本人王者の防衛戦ではない。
日本ムエタイの最高到達点が、ONEの世界タイトルマッチでどこまで圧倒的な強さを見せられるかという試合だ。
対するソンチャイノーイは、簡単な挑戦者ではない。
ソンチャイノーイは、吉成に敗れた後、ONEで10勝1敗の戦績を築いてきた挑戦者だ。
2023年の初対戦では吉成が勝利しており、今回はソンチャイノーイにとってリベンジと王座奪取が懸かった一戦になる。
吉成にとって重要なのは、自分の距離を崩されないことだ。
吉成はスピードと距離管理に優れ、左構えからの蹴り、前蹴り、コンビネーション、カウンターで相手をコントロールできる。
ONE公式も、吉成のスピード、レンジコントロール、リーチ面の優位性を勝利の鍵として挙げている。
一方で、ソンチャイノーイは近距離の圧力とパンチ力がある。
距離を潰され、4オンスグローブの危険な打ち合いに巻き込まれれば、吉成にとっても簡単な試合ではなくなる。
吉成が王者として完成度の違いを見せるのか。
ソンチャイノーイがリベンジの執念で距離を壊すのか。
日本ムエタイの象徴が、ONEのベルトを守る。
第14試合 若松佑弥 vs アバズベク・ホルミルザエフ 日本人MMA王者がホームでベルトを守る
第14試合は、若松佑弥 vs アバズベク・ホルミルザエフのフライ級MMA世界王座戦。
メインイベント前に置かれたこのカードは、ONE SAMURAI 1の中でも非常に重要な意味を持つ。
若松佑弥は、ONEフライ級MMA世界王者としてホームの有明アリーナに立つ。
若松はONE 172でアドリアーノ・モラエスを下して王座を獲得し、ONE 173でジョシュア・パシオを下して初防衛に成功。
今回が2度目の防衛戦となる。
相手はウズベキスタンの新鋭アバズベク・ホルミルザエフ。
勢いがあり、フィニッシュ力もある危険な挑戦者だ。
若松にとって、この試合は単なる防衛戦ではない。
ONE SAMURAI 1という新シリーズの第1回大会で、日本人MMA王者としてベルトを守る。
しかも場所は東京・有明アリーナ。
日本のファン、家族、仲間の前で王者としての強さを示す試合になる。
ONE公式の記事で、若松は日本で世界タイトルを防衛できることを大きな名誉だと語っている。
また、ONE SAMURAIという大会名について、武士道の精神を表現できる舞台だと受け止めている。
若松の強みは、爆発力のある打撃と、試合を終わらせる瞬間の鋭さだ。
だが、王者としての防衛戦は、挑戦者として挑む試合とは違う。
相手は失うものが少なく、勢いを持って向かってくる。
ホルミルザエフが序盤から圧力をかけてくるなら、若松は冷静にさばきながら、自分のタイミングで勝負所を作る必要がある。
この試合で若松が勝てば、日本人MMA王者としての価値はさらに高まる。
ONE SAMURAI 1の第1回大会で、日本の王者がベルトを守る。
その絵は、今後のシリーズにとっても大きな意味を持つ。
武尊のラストマッチの前に、若松が日本MMAの強さを示せるか。
この第14試合は、メインイベントへ向けた最後の大きな山場になる。
第15試合 ロッタン・ジットムアンノン vs 武尊 現役最後の試合で、リベンジと暫定世界王座を懸けた大一番
そして第15試合、メインイベントはロッタン・ジットムアンノン vs 武尊。
ONEフライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦であり、武尊の現役ラストマッチでもある。
ONE公式は、武尊が4月29日のONE SAMURAI 1で最後のリングに立ち、ロッタンとの再戦で暫定王座を懸けて戦うと紹介している。
この試合には、あまりにも多くの物語がある。
まず、武尊にとってはリベンジマッチだ。
2025年3月のONE 172で実現した初対決では、ロッタンが開始わずか80秒でKO勝利を収めた。
武尊にとっては、あまりにも早く、あまりにも重い敗戦だった。
そして今回は、ただの再戦ではない。
現役最後の試合。
暫定世界王座を懸けた一戦。
日本のファンの前で迎えるラストマッチ。
武尊は、K-1で3階級制覇を成し遂げ、日本のキックボクシングを背負ってきた存在だ。
ONE公式は、武尊の戦績を45勝5敗、26KO勝利と紹介し、35連勝という記録にも触れている。
武尊のキャリアは、単に強かったというだけでは語れない。
日本の立ち技格闘技を一般層に広げ、若い選手たちに夢を見せ、会場の熱を作ってきた選手だった。
ONE SAMURAI 1に出場する日本人選手たちも、武尊の存在が日本格闘技に与えた影響を語っている。
若松佑弥、吉成名高、平田樹、澤田千優、三浦彩佳らが、それぞれ武尊への感謝や影響をコメントしていることからも、その大きさが伝わる。
一方のロッタンは、前回勝っているからこそ難しい試合になる。
80秒KOという結果がある以上、多くの人はロッタン有利と見るかもしれない。
しかし、再戦は別物だ。
武尊は前回の敗戦を受けて、ロッタンの圧力、距離、パンチのタイミングを強く意識してくるはずだ。
ロッタンがまた一気に仕留めるのか。
武尊が距離を作り、蹴りとステップで前回とは違う展開に持ち込むのか。
それとも、最後は互いに覚悟をぶつける打ち合いになるのか。
技術的なポイントは、序盤の入りだ。
前回は開始直後にロッタンのパンチが試合を決めた。
今回、武尊が最初の1分をどう乗り切るか。
ロッタンの圧力に対して下がるだけではなく、どう止めるのか。
蹴りを使うのか、前に出るのか、クリンチ際をどう処理するのか。
そこに、この試合の大きな鍵がある。
ただし、この試合は技術論だけで語りきれない。
武尊にとっては、最後の試合である。
勝って終わるのか。
ベルトを巻いて終わるのか。
ロッタンへのリベンジを果たして終わるのか。
ONE SAMURAI 1の最後に待っているのは、日本格闘技の一時代を作った男のラストファイトだ。
後半戦は、日本格闘技が世界に挑む5試合
ONE SAMURAI 1の後半戦は、ただ豪華なカードが並んでいるだけではない。
それぞれの試合に、日本格闘技の現在地が映っている。
海人は、世界トップ級のグレゴリアンに挑む。
与座優貴は、ONEの王者ハガティーからベルトを奪いにいく。
吉成名高は、日本ムエタイの象徴として初防衛戦に臨む。
若松佑弥は、日本人MMA王者としてホームでベルトを守る。
そして武尊は、現役最後の試合でロッタンへのリベンジと暫定世界王座を懸けて戦う。
武尊のラストマッチは、間違いなく最大の物語だ。
だが、その前に続く4試合も、それぞれが大会の主役になれるだけの意味を持っている。
ONE SAMURAI 1は、武尊の最後を見届ける大会であると同時に、日本の選手たちが世界に何を示せるかを問われる大会でもある。
4月29日、有明アリーナ。
後半戦の5試合は、日本格闘技の過去、現在、そして未来が一気に詰め込まれた時間になる。
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