ONE SAMURAI 1直前② 中盤5試合は実力者と再起の交差点

2026年4月29日、東京・有明アリーナで開催される「ONE SAMURAI 1」。
全15試合が並ぶ今大会の中盤戦、第6試合から第10試合には、日本格闘技ファンにとって見逃せない名前がそろっている。
和田竜光、平田樹、和島大海、秋元皓貴、三浦彩佳。
いずれも、それぞれの競技・階級でストーリーを持つ選手たちだ。
武尊 vs ロッタン、若松佑弥の防衛戦、吉成名高の世界戦、与座優貴のタイトル挑戦といった後半のビッグマッチに注目が集まるのは当然だ。
しかし、ONE SAMURAI 1の面白さはそこだけではない。
中盤戦に組まれた5試合は、単なる"メイン前の時間"ではない。
ベテランの再証明、若手の挑戦、元王者の再浮上、女子MMAのタイトル戦線、そして日本人選手がONEの中でどこまで存在感を示せるのか。
そうしたテーマが詰まった濃いゾーンになっている。
第6試合 和田竜光 vs 伊藤盛一郎 ベテランの経験値か、パンクラス王者の勢いか
第6試合は、和田竜光 vs 伊藤盛一郎のフライ級MMA。
中盤戦の最初に置かれたこのカードは、日本人MMA同士の対決でありながら、かなりはっきりした構図を持っている。
和田竜光は、国内外で長く戦ってきた実力者だ。
和田はDEEPフライ級王座を2度獲得し、2018年からONEのフライ級MMAで戦ってきたベテランだ。
試合経験、組みの展開、スクランブル、相手の嫌がる位置を取る技術。
和田には、長いキャリアで積み上げてきたMMAの総合力がある。
一方の伊藤盛一郎は、第9代フライ級キング・オブ・パンクラシストとして実績を持つ選手だ。
ONE公式はこのカードについて、長く階級で戦ってきた和田が、評価の高い伊藤を迎え撃つフライ級MMA戦として紹介している。
この試合の見どころは、伊藤が和田の経験値を上回れるかどうかだ。
若さや勢いだけで押し切れる相手ではない。
和田は、相手の得意な展開をずらし、試合を泥臭くしてでも勝ち筋を作ることができる選手だ。
伊藤が一気にペースを握れば、ONEフライ級MMA戦線に新しい日本人選手が入ってくる印象を残せる。
逆に和田が勝てば、まだまだ自分が上の舞台で戦えることを証明する試合になる。
中盤戦の入り口として、かなり意味のある一戦だ。
ここで激しいMMAの攻防が生まれれば、大会の空気はさらに引き締まる。
第7試合 平田樹 vs リトゥ・フォガット 柔道 vs レスリング、女子アトム級の組み合いが熱い
第7試合は、平田樹 vs リトゥ・フォガットの女子アトム級MMA、5分3R。
このカードは、女子MMAの中でもかなり分かりやすいテーマがある。
平田樹は、柔道をルーツに持つ日本人ファイターだ。
ONE公式プロフィールによれば、6歳から柔道を始め、全国大会で3位に入るなど早くから実績を残してきた。
高校卒業後にMMAへ転向し、2019年のONEデビュー戦では一本勝ちを収めている。
対するリトゥ・フォガットは、インドのレスリングエリートだ。
ONE公式プロフィールでは、インド国内選手権で3度優勝し、2016年のコモンウェルス・レスリング選手権で金メダルを獲得した選手として紹介されている。
つまりこの試合は、柔道の平田 vs レスリングのフォガットという、非常に見やすい組み技対決になる。
もちろん、MMAである以上、単純な組み技の強さだけでは勝てない。
打撃でどう入るか。
ケージ際でどう組むか。
倒した後にどう抑えるか。
細かい局面の積み重ねが勝敗を分ける。
平田にとっては、ホームの日本大会で存在感を取り戻す大きなチャンスだ。
フォガットのレスリングを受け止めたうえで、自分の形に持ち込めるかが問われる。
フォガットにとっては、アトム級戦線で再浮上するために重要な一戦になる。
女子MMAの中盤戦にこのカードがあることで、大会の幅は一気に広がる。
派手な打撃戦とは違うが、組み技の攻防をじっくり見たい一戦だ。
第8試合 和島大海 vs リカルド・ブラボ 元K-1王者がONEで示す、日本ストライカーの価値
第8試合は、和島大海 vs リカルド・ブラボのフェザー級キックボクシング。
中盤戦の中でも、KOの匂いがもっとも強いカードかもしれない。
和島大海は、日本を代表するストライカーの一人だ。
ONE公式プロフィールでは、大阪府出身で、幼少期から空手と日本拳法に打ち込み、長いリーチと正確なミドルキックを武器に頭角を現した選手として紹介されている。
2022年の「THE MATCH」では"ブラックパンサー"ベイノアに判定勝利し、その後も国際的な強豪を破ってきた経歴が記されている。
対するリカルド・ブラボは、アルゼンチン出身のストライカー。
ONE公式プロフィールでは、17歳で単身日本へ渡り、プロファイターを目指してきた選手として紹介されている。
日本でキャリアを作ってきた外国人ファイターという意味でも、和島との対戦には独特の文脈がある。
和島に求められるのは、ONEの舞台で自分の強さを分かりやすく見せることだ。
K-1で実績を積んできた選手が、ONEのフェザー級キックボクシングでどこまで通用するのか。
そこは多くのファンが気にしているポイントでもある。
ブラボは、距離が合えば一気に試合を荒らせるタイプだ。
和島がリーチ、蹴り、左の攻撃で冷静に支配するのか。
ブラボが圧力をかけて打ち合いに巻き込むのか。
中盤戦の中でも、一発で会場の空気を変える可能性がある。
この試合は、単なる日本人選手の出場試合ではない。
和島にとっては、ONEでの初白星を狙い、自分の価値をあらためて示す一戦になる。
和島がONEのフェザー級キックボクシングで再評価を得られるかどうか。
その意味でも重要な一戦になる。
第9試合 秋元皓貴 vs 久井大夢 元ONE王者と20歳の王者 世代と実績がぶつかる
第9試合は、秋元皓貴 vs 久井大夢のバンタム級キックボクシング。
このカードは、ONE SAMURAI 1の全カードを完成させた追加カードとして発表された一戦でもある。
ONE公式は、元ONE王者の秋元と、KNOCK OUTで複数階級を制してきた20歳の久井による日本人対決と紹介している。
秋元皓貴は、ONEのバンタム級キックボクシング戦線で世界王者まで上り詰めた選手だ。
空手をベースにした独特の構え、鋭い踏み込み、連打の爆発力。
ONEの中でトップレベルの相手と戦ってきた経験値は、久井にとって大きな壁になる。
一方の久井大夢は、若さと勢いを持ってこの大舞台に挑む。
20歳という年齢で、元ONE王者と日本大会で対戦する。
これはリスクも大きいが、勝てば一気に名前が広がるチャンスでもある。
秋元が元王者として格の違いを見せるのか。
久井が若さと勢いで時代を動かすのか。
秋元にとっては、2連勝中の流れをさらに強め、再びタイトル戦線へ近づくための一戦になる。
久井にとっては、失うものより得るものが大きい試合だ。
相手は元ONE王者。
ここで互角以上に渡り合えば、それだけで評価は上がる。
もし勝てば、バンタム級キックボクシング戦線に新しい日本人スター候補が現れることになる。
中盤戦の中でも、この試合は"世代交代"というテーマを最も強く感じさせるカードだ。
第10試合 三浦彩佳 vs 澤田千優 女子アトム級タイトル戦線へ向かう大一番
第10試合は、三浦彩佳 vs 澤田千優の女子アトム級MMA、5分3R。
中盤戦の締めに置かれたこの試合は、今大会の中でもかなり重要度が高い日本人対決だ。
ONE公式はこのカードについて、元世界王座挑戦者の三浦彩佳と澤田千優による、アトム級MMAの重要な一戦として紹介している。
澤田はこの試合に勝って世界タイトル挑戦へ近づくことを狙っている。
三浦彩佳は、代名詞とも言える"アヤカロック"を持つサブミッションファイターだ。
ONE公式記事では、三浦はアトム級転向後4連勝中と紹介されている。
一度得意な形に入れば、相手にとっては非常に危険な選手だ。
ただし、澤田も簡単に飲み込まれる相手ではない。
澤田はレスリングを軸にした組みの強さがあり、三浦の得意な展開を正面から受けるのではなく、先にポジションを取り、試合をコントロールする力がある。
この試合の見どころは、三浦が自分の形に入れるかどうかだ。
組みついて、崩して、腕を狙う。
三浦の勝ちパターンは分かりやすい。
しかし分かっていても防げないからこそ、ここまで武器になっている。
一方の澤田は、その形に入らせないことが重要になる。
距離、組み際、ケージ際、トップポジション。
三浦に主導権を渡さず、先に展開を作れるか。
ここが勝敗を分ける。
この一戦は、女子MMAの日本人対決というだけではない。
勝者には、現ONE女子アトム級MMA世界王者デニス・ザンボアンガへの挑戦権が与えられる可能性もある。
中盤戦の締めにふさわしい、非常に意味のあるカードである。
中盤戦は、次の主役を決める時間帯になる
ONE SAMURAI 1の中盤戦は、静かな時間帯ではない。
むしろ、ここで大会の熱がさらに上がるかどうかが決まる。
第6試合では、和田竜光と伊藤盛一郎が日本人MMAの経験と勢いをぶつけ合う。
第7試合では、平田樹とリトゥ・フォガットが女子アトム級で組み技の主導権を争う。
第8試合では、和島大海がリカルド・ブラボを相手に、ONEでの存在感を示そうとする。
第9試合では、秋元皓貴と久井大夢が元王者と若き王者という構図でぶつかる。
第10試合では、三浦彩佳と澤田千優が女子アトム級タイトル戦線へ向けた大一番に臨む。
この5試合に共通しているのは、どの選手にとっても"次"につながる意味があることだ。
ベテランにとっては、まだ上に行けることを証明する試合。
若手にとっては、一気に名前を上げるチャンス。
元王者にとっては、再びタイトル戦線へ戻るための試合。
女子MMAの実力者にとっては、世界王座挑戦へ近づくための試合。
ONE SAMURAI 1は、武尊のラストマッチだけで語られる大会ではない。
その前に、日本人ファイターたちが主役を奪いにいく時間がある。
中盤戦の第6試合から第10試合。
ここで生まれる勝利が、次のONE日本大会の物語につながっていくかもしれない。
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