PRIDE伝説が映画に──『スマッシング・マシーン』格闘技ファン必見ガイド

2026年5月15日、A24配給の映画『スマッシング・マシーン』が日本公開される。
主演はドウェイン・ジョンソン。
演じるのは、PRIDE黄金期に“スマッシング・マシーン”の異名で恐れられた伝説の格闘家マーク・ケアーだ。
監督は『アンカット・ダイヤモンド』のベニー・サフディ。
本作で第82回ヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。
ジョンソン自身もゴールデングローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)に初ノミネートされるなど、格闘技映画の枠を超えた高い評価を受けている。
本稿では格闘技ファンの視点から、この映画の見どころを徹底解説する。
映画の基本情報
監督・脚本:ベニー・サフディ(初の単独長編監督作品)
製作:2025年(米国公開2025年10月3日/日本公開2026年5月15日)
配給:A24×ハピネットファントム・スタジオ
主演:ドウェイン・ジョンソン(マーク・ケアー役)
共演:エミリー・ブラント(恋人ドーン・ステイプルズ役)
格闘家キャスト:ライアン・ベイダー(マーク・コールマン役)、バス・ルッテン(本人役)、オレクサンドル・ウシク(イゴール・ボブチャンチン役)、石井慧(エンセン井上役)、大沢たかお(榊原信行役)
企画のきっかけは、2002年にHBOが制作したドキュメンタリー『THE SMASHING MACHINE』だ。
ジョンソン自身がこのドキュメンタリーに感銘を受け、製作権を獲得。
主演兼プロデューサーとして本作を実現させた。
“ザ・ロック”が消えた──ジョンソンの徹底した役作り
ドウェイン・ジョンソンは本作でこれまでのイメージを完全に捨てた。
毎日3〜4時間の特殊メイクを施し、マーク・ケアーの肉体を忠実に再現。
表情、歩き方、話し方に至るまで役柄に没入し、「鏡の前で変わっていくのを見ていると、自分がマーク・ケアーになったと感じた」と語っている。
共演のエミリー・ブラントは初日から「ドウェインが完全に別人の次元にいた」と証言。
ブラント自身もゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされるなど、演技面での評価は極めて高い。
これまで“すべての答えを持つ無敵のヒーロー”を演じてきたジョンソンが、本作では封印してきた繊細さと弱さを全面に出している。
鎮痛剤依存、試合での挫折、恋人との関係の崩壊と再生──「最強」の裏にあった脆さを表現したこの演技は、格闘技ファンにこそ響くはずだ。
格闘シーンの技術的分析──PRIDEの熱狂を再現
本作の格闘シーンは史実の試合を徹底研究して再現されている。
監督サフディは2002年のドキュメンタリー映像や当時のPRIDE試合映像を参考に、スラム・パンチ・膝蹴りのすべてに重量感と痛烈さを持たせるための独自ルールを設定した。
最大の特徴は、現役総合格闘家をキャスティングした点だ。
マーク・コールマン役のライアン・ベイダーをはじめ、実力派の格闘家たちが実際に攻撃を繰り出す場面も多く、グラウンドでの本気のパンチが飛ぶ臨場感は圧巻。
撮影手法にもこだわりがある。
観客目線を重視し、リング外からカメラを固定することで会場観戦の臨場感を演出。
サフディ監督は「なるべく再現性を高めたかった」と語り、同じシーンを何度も繰り返すことなく一発撮りでリアリティを追求した。
音響面では指ぬきグローブでの衝突音やマットの音を徹底収録し、試合の盛り上がりに合わせてジャズ風ドラム音を重ねるなど独自の演出も導入されている。
格闘技ファン必見の4つのシーン
PRIDE初戦 vs イゴール・ボブチャンチン
ボブチャンチン役のオレクサンドル・ウシクが放つ強烈なローキックが際立つ一戦。
ケアーのレスリングに対し、ローキックでダメージを与えてからテイクダウン、最後にヒールホールドで仕留める流れが忠実に再現されている。
「ローキック→テイクダウン→足関節技」という展開がナチュラルで、再現度の高さに唸らされる。
PRIDE GP決勝 vs マーク・コールマン
コールマン役のライアン・ベイダーとの激突は、本作最大の見せ場の一つ。
ケアーがコールマンの攻撃を受けつつ、多彩なタックルからバックドロップで投げ返すレスリング技術は圧巻だ。
ベイダー自身のMMA技術が活きたグラウンドの攻防は、スラム系技の迫力とグラップリングの精度が光る。
トレーニング・モンタージュ
ジョンソン扮するケアーが打撃練習やレスリングドリルに取り組む場面。
トレーニング器具の扱い方やフォーム、マッスルコントロールやスタミナ強化の様子が細かく描かれる。
トップアスリートの練習過程を垣間見られる貴重なシーンだ。
再起への決意──試合後の肉体と精神
格闘シーンではないが、格闘技ファンにこそ見てほしい場面がある。
試合での敗北後、鎮痛剤依存と闘い、恋人との関係を取り戻す決意を描くシーンだ。
勝利だけでなくメンタルケアや自己管理の重要性を突きつける──現役ファイターにも響く描写となっている。
作品情報
タイトル:『スマッシング・マシーン』(原題:The Smashing Machine)
日本公開:2026年5月15日(金)
配給:A24×ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本:ベニー・サフディ
出演:ドウェイン・ジョンソン、エミリー・ブラント、ライアン・ベイダー、バス・ルッテン、オレクサンドル・ウシク、石井慧、大沢たかお ほか
この記事をシェア



