UFCラスベガス119は若手と新顔が一気に名前を売った大会に メイン以外の勝者が示したもの

2026年6月20日に米国ラスベガスのMeta APEXで行われた「UFC Vegas 119」(UFCファイトナイト:ケイプ vs 堀口2)は、堀口恭司とマネル・ケイプの再戦が大きな注目を集めた大会だった。
しかし、メインイベント以外のメインカードにも、今後の各階級を考えるうえで見逃せない結果が並んだ。
ナヴァホ・スターリングはライトヘビー級で無敗を維持し、クリスチャン・ロドリゲスは2連敗を止めるテクニカルサブミッション勝ち。
さらに、ムルタザリ・マゴメドフはUFCデビュー戦で珍しいツイスター系の変形技を極め、ヴィニシウス・オリヴェイラはUFCでのフェザー級初戦でアンドレ・フィリを止めた。
大会全体としては、ベテランや実績者を乗り越え、次の候補たちが一気に名前を売った一夜だった。
メインカード結果
- マネル・ケイプ def. 堀口恭司 3R 2分42秒 KO/TKO
- ナヴァホ・スターリング def. イオン・クテラバ 2R 3分23秒 TKO
- クリスチャン・ロドリゲス def. ハイダー・アミル 1R 3分43秒 テクニカルサブミッション
- ムルタザリ・マゴメドフ def. メルシック・バグダサリアン 1R 1分17秒 サブミッション
- ヴィニシウス・オリヴェイラ def. アンドレ・フィリ 2R 4分56秒 TKO
スターリングは「危ない場面を越えて勝利」
コメインイベントでは、ナヴァホ・スターリングがイオン・クテラバを2ラウンドTKOで下した。
スターリングにとって、この試合は勝利だけでなく、内容も問われる一戦だった。
相手のクテラバは、勝ち負けに波がある一方で、序盤から強烈な圧力をかけ、相手を荒れた展開に巻き込むことができる選手だ。
若手が勢いだけで入り込むと、簡単に飲み込まれるタイプでもある。
実際、試合序盤にはクテラバが組みでスターリングにプレッシャーをかけ、ギロチンやキムラを狙う場面もあった。
スターリングはそこで崩れなかった。
危険な形をしのぎ、立ち直り、2ラウンドには逆に自分の攻撃をまとめた。
最後はケージ際でクテラバを座らせ、パンチとヒジを浴びせてレフェリーストップを呼び込んだ。
ケンカの展開に引きずり込まれかけても、自分を失わずに勝ち切ったことは大きい。
スターリングはこれでキャリア10勝0敗、UFCでは5勝0敗。
無敗のままライトヘビー級で存在感を強めた。
ライトヘビー級は、上位陣の顔ぶれが固定されやすい階級でもある。
そこにスターリングのような無敗の新鋭が入ってくると、今後のマッチメイクは一気に面白くなる。
ロドリゲスは連敗からの再出発に成功
クリスチャン・ロドリゲスにとって、ハイダー・アミル戦は立て直しの一戦だった。
ロドリゲスはこれまで、強豪や期待株を相手に存在感を見せてきた一方で、直近の流れでは停滞感もあった。
ここで敗れれば、階級内での立ち位置がさらに難しくなる。
その状況で、ロドリゲスは1ラウンドに明確な答えを出した。
アミルの前進に対し、右の強打を当てて流れをつかむと、ハイキックでダウンを奪い、最後はギロチンにつなげてテクニカルサブミッション勝ちを収めた。
判定で何とか勝ったのではなく、打撃で流れを作り、組みで仕留めた。
総合力で相手を上回った内容だった。
ロドリゲスは、フェザー級で再浮上するためのきっかけをつかんだと言っていいだろう。
マゴメドフはUFCデビューで強烈な印象を残した
この大会で最もインパクトを残した一人が、ムルタザリ・マゴメドフだった。
メルシック・バグダサリアンを相手に、1ラウンド1分17秒でサブミッション勝ち。
しかも決まり手は、UFCでも珍しいツイスターによる勝利だった。
UFCには毎年、多くの無敗選手や有望株が入ってくる。
その中で記憶に残るには、勝つだけでは足りない。
マゴメドフは、初戦でそれをやってのけた。
フェザー級は層が厚く、簡単に上位へ入れる階級ではない。
それでも今回の勝利により、次戦からは一段注目度の高い相手が用意されてもおかしくない。
オリヴェイラはフェザー級で新しい可能性を見せた
メインカード第1試合では、ヴィニシウス・オリヴェイラがアンドレ・フィリを2ラウンドTKOで破った。
オリヴェイラにとって、この試合はUFCでのフェザー級初戦だった。
もともとバンタム級で戦っていた選手が階級を上げる場合、スピードが通用するのか、パワー負けしないのか、耐久面はどうなのかという疑問が出る。
だが、フィリ戦のオリヴェイラは、その不安をかなり払拭した。
フィリは経験豊富で、簡単に崩れる相手ではない。
序盤にはオリヴェイラが攻め込まれる場面もあったが、2ラウンドに打撃で流れを引き戻し、最後はパンチ、ヒザ、ヒジをまとめて試合を終わらせた。
オリヴェイラは、階級を上げたことで動きが鈍るどころか、より攻撃的な魅力を出せる可能性を示した。
ボーナス発表
この大会では、メインカードの勝者たちがしっかり評価された。
ケイプとマゴメドフが10万ドルのパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを獲得し、オリヴェイラ対フィリはファイト・オブ・ザ・ナイトに選ばれた。
さらにスターリング、ロドリゲスらにもフィニッシュボーナス(2万5000ドル)が与えられている。
メインではケイプが堀口に劇的な逆転TKO勝ちを収めた。
他にもスターリング、ロドリゲス、マゴメドフ、オリヴェイラが、それぞれ違う形で自分の価値を示した。
次につながる選手が多かった一夜
UFCラスベガス119は、今後の階級を動かす選手を見つけるという意味では、かなり収穫の多い大会だった。
ライトヘビー級ではスターリングが無敗を守り、フェザー級では、ロドリゲスが連敗を止め、マゴメドフが鮮烈なUFCデビューを飾り、オリヴェイラが階級変更の成功を印象づけた。
特にマゴメドフとオリヴェイラは、次戦の相手次第で一気にランキング周辺の話題に絡んでくる可能性がある。
日本のファンにとってメインイベントのケイプ対堀口は、この大会の中心だった。
しかし、メインカード全体を振り返ると、UFCラスベガス119は「次の候補」が一気に見えた大会でもあった。
勝った選手たちは、ここからより厳しい相手をぶつけられる。
そこから本当に上に上がって行けるのか。
この大会の答え合わせは、次のマッチメイクから始まる。
