安井飛馬は主役になれるか、森俊樹は台本を壊せるか

正直、このカードは安井飛馬を前に押し出すために組まれたように見える。
4月19日のDEEP TOKYO IMPACT 2026 2nd ROUNDで、安井飛馬vs森俊樹は今大会で唯一の5分3Rに組まれ、メインに置かれた。
しかもDEEPの告知でも、安井は「RIZINで怪物くんを破り、鹿志村仁之介と激闘した」選手として打ち出されている。
カードの置き方や告知の打ち出し方を見ると、安井を前に出したい意図を感じる。
でも、だから面白い。
こういう試合は、主役候補がきれいに勝つと一気に評価が上がる一方で、相手がその空気を壊しに来た瞬間に試合の温度が跳ね上がる。
安井は25歳。
柔道を土台に、DEEPフューチャーキング2023を4連続フィニッシュで制し、プロでは劉獅、牧野滉風、鈴木博昭に勝利。
RIZINでも勝ち星を積み、JTTの有望株として期待を集めてきた。
だから今回は、ただ勝つだけでは足りない。
「やっぱり安井は違う」と思わせる勝ち方まで求められる。
主役候補の重さ
その重さが、逆に安井を難しくする。
期待される側は、相手より先に“勝たなきゃいけない空気”と戦わないといけない。
前戦のRIZIN LANDMARK 12では鹿志村仁之介に判定負けを喫していて、今回は再出発の意味も強い。
ここを越えられるかで、DEEPの中での立ち位置は大きく変わる。
安井にとっては、ただの一戦ではなく、主役になるための試験だ。
嫌な存在、森俊樹
ただ、森俊樹はその試験の相手としては、かなり嫌な存在だ。
森は派手に持ち上げられるタイプではない。
でも、こういう選手が一番怖い。
プロ2戦目で、いまDEEPライト級の上位戦線にいる倉本大悟に1R TKO勝ちを収めている。
しかもプロデビュー戦では、同じJAPAN TOP TEAMの山本颯志と戦っている。
つまり森は、最初から”これから上に行く選手”とぶつかる役回りを引いてきた選手でもある。
今回もまた同じ構図が繰り返されている。森の側にも、その空気を壊す役割が回ってきたと見える。
感情の噛み合わせが試合を熱くする
この試合が楽しみなのは、技術の噛み合わせ以上に、感情の噛み合わせがいいからだ。
安井は前に進みたい。
森は、相手の未来のための材料にはなりたくない。
安井には「ここは勝たないといけない」という圧力がある。
一方で森には、実績のある本命候補の踏み台にはなりにくい相手という背景がある。
そう考えると、この構図はそれ自体が面白い。
メインイベントは、こういう噛み合わせがあると一気に面白くなる。
冷静な判定戦より、どこかで意地が前に出る試合の方が、観る側の記憶に残る。
これはそういう匂いのするカードだ。
安井を推すための試合に見える。
だからこそ、森が危ない。
見方はシンプルだと思う。
安井が勝てばいい、ではない。
安井が“主役っぽく”勝てるかどうかだ。
逆に森は、勝つか負けるか以上に、安井を気持ちよく勝たせないことに価値がある。
そこで試合は荒れるし、熱くなる。
DEEP TOKYO IMPACT 2026 2nd ROUNDのメインは、ただ強い方が勝つ試合というより、前に出される側と、その流れを止めうる相手がぶつかる試合だ。
そう考えると、このカードはかなりいい。
試合後に「安井の夜だった」と言われるのか、それとも「森が全部かき回した」と言われるのか。
そこがたまらなく楽しみだ。
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