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ダナ・ホワイトはボクシング界の契約構造を変えるのか ライアン・ガルシアを巡る新たな争い

EasyFight運営
ダナ・ホワイトはボクシング界の契約構造を変えるのか ライアン・ガルシアを巡る新たな争い

ライアン・ガルシア本人が9月12日にラスベガスで行うと発表したものの、正式契約には至っていないと報じられているコナー・ベン戦。

実現すればWBC世界ウェルター級王者ガルシアの初防衛戦となるビッグマッチだが、正式発表を前に、リングの外で大きな問題が浮上した。

オスカー・デラホーヤが率いるゴールデンボーイ・プロモーションズは、ダナ・ホワイトが率いるZuffa Boxing、その運営を担うTKO Group Holdings、配信を予定しているとされるParamount、サウジアラビアのエンターテインメント企業Selaなどに対し、ガルシアに関する交渉を直ちに停止するよう求める文書を送付した。

ゴールデンボーイ側は、自社がガルシアと結んでいるとする契約や、DAZNが持つとする放映上の権利を無視して、自社を通さずに試合の準備が進められたと主張している。

現時点で訴訟が起こされたわけではないが、交渉の進め方が改められなければ、法廷闘争へ発展する可能性もある。

ガルシアはすでに対戦を発表していた

ガルシアは5月、テレビ番組への出演中に、9月12日にラスベガスでベンと対戦すると明らかにしていた。

ガルシアは2月にマリオ・バリオスを判定で破り、WBC世界ウェルター級王座を獲得。
ベンはWBCが指名したウェルター級の指名挑戦者として位置づけられており、試合そのものは王座戦として自然な組み合わせだった。

しかし、選手同士が対戦に合意し、世界王座を認定する団体が挑戦者を決めたとしても、それだけで試合を開催できるわけではない。

ゴールデンボーイは、現在もガルシアの試合に関する共同プロモーション権を保有していると主張しており、ガルシアが設立したプロモーション法人も興行に関与しているとされる。
さらに、ゴールデンボーイは2026年3月にDAZNとの独占的な複数年契約を更新したばかりだった。

一方、ベンを抱えるZuffa BoxingはParamount+を主戦場としている。

一つの試合に、選手、プロモーター、選手個人の会社、配信事業者、王座認定団体が関係する。
今回の問題は、現代ボクシングの複雑な権利関係をそのまま映し出している。

ゴールデンボーイを通さずに試合は組めるのか

ゴールデンボーイ側の主張によれば、ガルシアの会社が単独でZuffa Boxingと契約し、試合を決定することはできない。

ガルシアに一定の交渉権があったとしても、ゴールデンボーイが持つ共同プロモーション権を無視することはできず、試合を成立させるには同社の承認と参加が必要だという立場だ。

さらに、試合がParamount+で配信されれば、DAZNが持つとされるガルシア戦の放映権にも抵触すると主張している。

つまり今回の争いは、「ガルシア対ベンを開催できるか」という問題だけではない。

誰が選手の試合を交渉できるのか。
誰が興行を主催するのか。
どの配信サービスが試合を放送できるのか。
その権限を巡る争いである。

Zuffa Boxingが目指すUFC型の構造

Zuffa Boxingは、従来のボクシング界とは異なる仕組みを作ろうとしている。

同団体は、年間を通じた大会開催、階級数の削減、分かりやすいタイトルへの道筋、継続性のあるマッチメイクを掲げている。

この考え方は、ダナ・ホワイトがUFCで築いてきたモデルに近い。

UFCでは多くの選手が同じ団体と契約し、団体側がランキング、王座、対戦カード、興行、放映権をまとめて管理する。

そのため、同じ階級の上位選手が別々のプロモーターや放送局に所属し、交渉がまとまらないという事態は比較的起こりにくい。

一方、ボクシングでは選手ごとにプロモーターや放送局が異なる。

実現が望まれている試合でも、興行権、放映権、報酬の分配、試合順、リングアナウンサーに至るまで交渉が必要になる場合がある。

Zuffa Boxingは、分散しているプロモーションや王座の仕組みに対し、一つのブランド内で完結するリーグ型モデルを提示している。

しかし、すでに他社と契約しているスター選手まで自社大会へ登場させようとすれば、既存のプロモーターや放送局との衝突は避けられない。

DAZN対Paramount+という放映権争い

今回の問題をさらに複雑にしているのが、DAZNとParamount+の存在だ。

ゴールデンボーイは2018年からDAZNと協力関係を築き、2026年3月には契約を複数年延長した。

DAZNはゴールデンボーイのほか、Matchroom、Queensberry、Top Rankなどの興行配信権を持つ巨大なボクシングプラットフォームとなっている。

対するParamountは、UFCに加えてZuffa Boxingの配信権も獲得し、少なくとも米国市場ではUFCとZuffa BoxingをParamount+に集約している。

ガルシア対ベンは、両選手の王座戦であると同時に、DAZNとParamount+の放映権が交差する可能性のある試合でもある。

Paramount+で開催すればZuffa Boxingにとって大きな目玉になるが、ゴールデンボーイ側が主張するDAZNの権利を処理しなければ、試合を正式に発表することは難しい。

過去の大型興行では、共同配信などによって異なる放送契約を調整した例もある。

ただし、今回そのような交渉が行われているかは明らかになっていない。

ボクサーは自分の対戦相手を決められないのか

選手が希望する対戦相手を表明することと、正式に試合を契約することは別の話だ。

ガルシアとベンはともに対戦を望み、王座認定団体も両者の試合を後押ししている。

それでも、ゴールデンボーイの主張が契約上認められる場合、ガルシア側だけで他社との試合契約を成立させることは難しい。

一方で、選手が大きな人気と発信力を持つようになった現在、プロモーターだけが一方的に試合を決める時代でもなくなっている。

ガルシアとゴールデンボーイは、2023年にもプロモーション契約を巡って訴訟となった経緯がある。

今回の一件は、スター選手が自ら対戦カードを発表し、新たなプロモーションと直接話を進めた場合、既存の契約がどこまで選手の行動を制限できるのかという問題も突きつけている。

試合を実現させる道は残っている

ゴールデンボーイは、ガルシア対ベンそのものに反対しているわけではない。

デラホーヤはZuffa Boxingとの協力に前向きな姿勢も示しており、正しい手続きを踏み、自社とDAZNの権利が尊重されるのであれば、試合を実現する余地は残されている。

したがって、停止要求書が送られたからといって、直ちに試合が消滅したわけではない。

今後の焦点は、Zuffa Boxingがゴールデンボーイを正式な共同プロモーターとして受け入れるのか、DAZNとParamount+が放映権をどのように処理するのか、そしてガルシアの契約内容が実際にどこまで他社との交渉を制限しているのかに移る。

ダナ・ホワイトは、分断されたボクシング界にUFC型の分かりやすい構造を持ち込もうとしている。

だが、既存の契約を尊重せずに交渉を進めたと認定されれば、改革ではなく契約上の権利を侵害したと判断される可能性がある。

ガルシア対ベンを巡る争いは、一つの世界戦の行方だけを決めるものではない。

Zuffa Boxingが既存のプロモーターと共存しながらボクシング界へ参入するのか。
それとも、契約構造そのものを作り替えようとするのか。

すでに複数の既存プロモーターと摩擦を起こしているZuffa Boxingにとって、ガルシアという世界的スターを巡る今回の争いは、これまでで最も注目度の高い契約問題の一つとなる。

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