FBIがUFC Freedom 250への攻撃計画を阻止 爆発物搭載ドローンと狙撃を相談か

2026年6月14日夜から15日未明にかけて、米国ワシントンD.C.のホワイトハウス南庭で開催された「UFC Freedom 250」。
ジャスティン・ゲイジーとイリア・トプリアによるライト級タイトルマッチをはじめ、歴史的な試合が行われた大会の裏側で、大会に出席する政府関係者や来場者を標的としたとされる攻撃計画が捜査当局によって阻止されていたことが明らかになった。
FBI長官は先に「複数人を拘束した」と公表していたが、米司法省は6月16日、攻撃計画に関与した疑いで5人を逮捕・訴追したと正式に発表した。
逮捕は発表当日ではなく、大会前後の週末にオハイオ、ミズーリ、ネブラスカ、カリフォルニア各州で行われている。
告訴状によれば、関係者らは爆発物を搭載した小型ドローンをUFC会場の北側上空で爆発させ、混乱した来場者や標的を南側へ避難させたうえで、待機していた銃撃要員が発砲する構想について話し合っていたとされる。
大会にはドナルド・トランプ米大統領のほか、政権高官、共和党議員、献金者らが出席していた。
しかし、攻撃は実行されず、大会は大きな混乱なく終了した。
なお、現在公表されているのは刑事告訴状に記載された当局側の主張であり、司法省も、告訴状はあくまで申し立てであって法廷で有罪が証明されるまで被告は無罪と推定されると明記している。
母親からの通報で捜査が始まる
捜査当局が脅威を把握したのは、大会4日前の6月10日だった。
オハイオ州に住む19歳の男の母親が、息子による複数の武器購入や、インターネット上で接触している人物について不安を感じ、地元警察へ通報したことがきっかけになったとされている。
その後の捜査では、複数の容疑者の自宅や車両から、AR型ライフルや狩猟用ライフル、拳銃、拡張弾倉、多数の弾薬、戦術装備などが押収された。
また、約19人が参加するSignalなどの暗号化通信アプリ上のグループチャットや、役割・場所ごとに分けられた4〜5人程度の小規模チャットでは、会場周辺の地図や航空写真、狙撃位置、ドローン発進地点、攻撃後に使用する隠れ家、逃走経路などを話し合うメッセージが確認されたという。
関係者の一部は、反政府的な陰謀論や米国社会への不満を共有していたとされる。
告訴状では、トランプ政権によるエプスタイン関連資料の扱いへの不満に加え、反政府思想、反ユダヤ的な主張、企業経営者や政治家への敵意などが入り混じった発言も確認された。
公開された個別の告訴状では、ブライアン・ロア、マイケル・トーマス、ダニエル・エスクリッジ、エイブラハム・アルバレスの4人が殺人共謀罪に問われている。
19歳のタイセン・プロパーには、米国に対する犯罪の共謀に加え、連邦政府職員の殺人未遂や、暴力犯罪に関連する銃器所持などの容疑が記載されているが、現時点では裁判で有罪が確定したわけではない。
計画はどこまで進んでいたのか
司法省の発表と公開された裁判資料では、爆発物搭載ドローンと狙撃を組み合わせた攻撃構想が大きく報じられた。
一方で、計画が実行直前まで進んでいたかについては、慎重に見る必要がある。
告訴状によれば、一部のメンバーはドローンや爆薬を購入するための資金を集めていた一方、別の被告はドローン1機を保有し、追加の機体を準備していたとされる。
JD・バンス副大統領はFOXニュースの番組で、計画について「実行段階には近づいていなかった」「準備はそれほど進んでいなかった」との見方を示した。
ただしバンスは別の場では「組織的に計画されたテロ計画」とも述べており、深刻さを軽視しているわけではない。
つまり、単なるインターネット上の過激な発言だけではなかった一方、複数の人物が州外におり、ドローンや爆薬の調達も完了していなかったとみられることから、攻撃の実行部隊が会場周辺で待機していたと断定できる状況でもない。
捜査当局が早い段階で情報を把握し、複数州で関係者を逮捕したことで、計画の進行が止められた形になる。
歴史的大会の裏側にあった異例の警備
UFC Freedom 250は、米国独立250周年記念行事の一環として開催された。
普段のUFC大会とは異なり、会場は大統領官邸・公邸であるホワイトハウスの敷地内だった。
大統領や政府関係者が多数出席し、大会そのものが政治的、象徴的な意味を持っていたことから、通常のスポーツイベント以上に高い警備が必要とされていた。
開催前には、大規模な仮設会場の建設や公共空間の使用手続きを巡って訴訟も起きた。
さらに大会終了後、攻撃計画が捜査対象になっていたことまで判明したことで、この大会がスポーツイベントの枠を超え、政治的、象徴的な意味を持つ大会だったことが改めて浮き彫りになった。
ケージの中では、ゲイジーがトプリアを破り、新たなライト級王者となった。
しかし会場の外では、FBIやシークレットサービス、各地の警察・捜査機関が、捜査と警備対応を進めていた。
今後は、逮捕された人物たちがどこまで計画に関与していたのか、実際に攻撃を実行する意思と能力があったのか、さらにほかの関係者が存在するのかが捜査と裁判で明らかにされることになる。
