23勝2敗、5試合連続KO・TKO勝ち 元KSW二階級王者サラディン・パルナスとは

フランス出身のサラディン・パルナス(Salahdine Parnasse)は、ポーランドの大手MMA団体KSWでフェザー級とライト級の王座を獲得した元二階級王者だ。
2017年12月にKSWへ初参戦し、2026年4月に団体を離れるまで約8年4カ月にわたって活躍。
KSWでは14勝2敗、通算22勝2敗を記録し、団体史上最年少で王者に就くなど、KSWを代表する選手の一人となった。
2026年5月には、米国カリフォルニア州イングルウッドで開催されたMVP MMAに出場。
ケニー・クロス(Kenneth Cross)を1ラウンド4分18秒、ボディへのパンチでTKOし、プロ戦績を23勝2敗に伸ばした。
MVP公式サイトでは身長5フィート10インチ(約178cm)、リーチ73.2インチ(約186cm)とされ、現在の主戦場はライト級となっている。
11歳でMMAを始め、17歳でプロデビュー
パルナスは1997年12月4日生まれで、フランスのオーベルヴィリエで育った。
11歳で格闘技ジムに入り、MMAの練習を開始した。
10代には市役所で働きながら、1日に複数回の練習をこなす生活を送った。
2015年6月、17歳でプロデビューすると、ジョーダン・ベルガー(Jordan Berger)を2ラウンドの肩固めで下した。
2017年3月にはフランスの100% Fightで、スレイマン・ブアタ(Suleiman Bouhata)とモルガン・シャリエール(Morgan Charrière)に同日判定勝ち。
フェザー級トーナメントを制した後、同年12月にKSWへ参戦した。
KSW加入時は国際的には無名に近い若手だったが、長いリーチと高い身体能力に加え、打撃と組み技の双方を扱える総合力を武器に勝利を重ねた。
2019年4月のKSW 48では、ロマン・シマンスキ(Roman Szymański)を2ラウンド3分40秒、パンチでTKO。
KSWフェザー級暫定王座を獲得した。
その後、正規王者マテウス・ガムロット(Mateusz Gamrot)の王座返上に伴い、パルナスが正規王者へ昇格した。
初黒星を喫したトーレスへのリベンジ
パルナスは2021年1月、ダニエル・トーレス(Daniel Torres)とのKSWフェザー級王座戦に臨んだ。
試合ではトーレスの前腕による一撃を受け、1ラウンド1分49秒でKO負け。
プロ14戦目で初黒星を喫し、王座から陥落した。
しかし、次戦でフィリップ・ペイッチ(Filip Pejić)を2ラウンドのリアネイキッドチョークで下すと、同年12月にトーレスとの再戦が実現した。
トーレスは前日計量で規定体重を超過し、フェザー級王座を剥奪されたため、パルナスのみが勝利した場合に王座を獲得できる条件で試合が行われた。
パルナスは5ラウンドを通して試合を組み立て、50-45、49-46、48-47の判定3-0で勝利。
空位となった王座を獲得し、KSWフェザー級王者に返り咲いた。
突然の一撃で敗れた初戦とは異なり、再戦では距離とポジションを管理しながらポイントを重ねた。
技術だけでなく、敗戦を踏まえた修正能力と試合運びの巧さを示した一戦だった。
フェザー級とライト級を制した二階級王者
フェザー級王座に返り咲いたパルナスは、2022年3月にダニエル・ルトコフスキ(Daniel Rutkowski)を4ラウンドのリアネイキッドチョークで下し、王座防衛に成功した。
同年11月にはライト級へ階級を上げ、セバスチャン・ラジェフスキ(Sebastian Rajewski)との暫定王座決定戦に出場。
4ラウンドにリアネイキッドチョークを極め、KSWライト級暫定王座を獲得した。
この勝利により、フェザー級正規王座とライト級暫定王座を同時に保持し、KSW史上最年少の二階級王者となった。
その後、正規ライト級王者マリアン・ジョウコフスキ(Marian Ziółkowski)との王座統一戦が予定されたが、ジョウコフスキが負傷により王座を返上。
パルナスがライト級正規王者へ昇格した。
2023年12月にはさらに階級を上げ、KSWウェルター級王者アドリアン・バルトシンスキ(Adrian Bartosiński)に挑戦した。
KSW史上初となる三階級制覇を狙ったが、49-46、49-46、48-47の判定0-3で敗戦。
プロで喫した2敗は、トーレス戦とバルトシンスキ戦のみとなっている。
打撃と組み技を切れ目なくつなぐ総合力
パルナスはサウスポーから繰り出す左ストレートやジャブ、前蹴り、ミドルキックを使って距離を管理する。
一発の威力だけに頼るのではなく、相手の反応を見ながら攻撃のタイミングや距離を変え、徐々に動きを制限していくタイプだ。
大きな特徴は、打撃と組み技が分断されていないことにある。
パンチや蹴りを警戒させてテイクダウンへ入り、相手が立ち上がろうとすれば背中へ回る。
トップポジションを取った後は、マウントやバックからパウンドを重ね、相手が防御を固めればチョークへ移行する。
立ち技、テイクダウン、ポジションコントロール、一本の狙いを連続させられることが強みだ。
ライト級で増えた打撃によるフィニッシュ
以前のパルナスは、長いラウンドを技術的に支配して勝利する印象も強かった。
しかし、ライト級で戦うようになって以降は、打撃によるフィニッシュが増えている。
2023年のバルトシンスキ戦後は、ヴァレリウ・ミルチャ(Valeriu Mircea)をハイキックからの追撃で1ラウンドKO。
続いて、ウィルソン・ヴァレラ(Wilson Varela)、マリアン・ジョウコフスキ、マルチン・ヘルド(Marcin Held)を、いずれも2ラウンドTKOで下した。
さらにクロスを1ラウンドTKOで破り、現在は5試合連続でKOまたはTKO勝ちを収めている。
もともと備えていた距離管理、テイクダウン、バックテイクに加え、近年は打撃で試合を終わらせるフィニッシュ力が結果として表れている。
UFC参戦が噂されているがどこまで通用するか
パルナスは、特定の分野だけで勝負する選手ではない。
遠い距離では蹴りと左ストレート、接近戦ではクリンチと連打、組みではテイクダウン、グラウンドではパウンドと一本を狙える。
KSWではフェザー級からウェルター級まで経験し、5ラウンドの王座戦も数多く戦ってきた。
打撃戦、組み技戦、判定勝負のいずれにも対応し、相手や試合展開に応じて勝ち方を変えられることが最大の魅力だ。
欧州で高い完成度を示してきたパルナスが、世界最高峰のライト級でどこまで通用するのか、大きな関心を集めることになりそうだ。


