いよいよゲイブル・スティーヴソンがUFC 329でデビューへ 五輪金メダリストがヘビー級でイライシャ・エリソンと対戦

レスリング界の超大物が、UFCのオクタゴンに立つ。
ゲイブル・スティーヴソンが、UFC 329でUFCデビューを迎える。
対戦相手はイライシャ・エリソン。
試合はヘビー級マッチとして組まれており、現地時間7月11日に米ネバダ州ラスベガスのT-Mobile Arenaで開催される。
UFC 329は、コナー・マクレガー vs マックス・ホロウェイ2をメインイベントに据えた大型大会だ。
その中でスティーヴソンのデビュー戦は現時点ではプレリムでの実施が予定されているが、注目度は決して小さくない。
東京五輪フリースタイルレスリング125kg級金メダリストが、MMA転向を経てUFCに到達する。
これは通常の新人デビューとは違う。
UFCヘビー級の今後を占ううえでも、十分に大きな意味を持つ一戦だ。
五輪金メダリストがMMAへ
スティーヴソンの最大の武器は、言うまでもなくレスリングだ。
東京五輪では、男子フリースタイル125kg級で金メダルを獲得。
試合終了間際の逆転劇で世界に強烈な印象を残した。
さらにNCAAでもヘビー級のトップとして君臨し、アメリカレスリング界のスターとして知られてきた。
ただし、MMAではレスリングの実績だけで勝ち切ることはできない。
ヘビー級において、相手を倒す能力、トップを取る能力は大きな武器になる。
特にスティーヴソンのように、125kg級で世界の頂点を取った選手がMMAに適応できれば、階級全体にとって危険な存在になり得る。
一方で、レスリングの強さをMMAでどう使うのかは別の問題だ。
タックルに入るまでの打撃、ケージ際の攻防、トップを取った後のパウンド、相手に立たれた後の再アタック。
スティーヴソンに問われるのは、レスリング単体の強さではなく、それを総合格闘技の流れに落とし込めるかどうかになる。
MMAでは3勝0敗 すべて初回フィニッシュ
スティーヴソンは、MMA転向後も結果を残している。
プロMMAではここまで3勝0敗。
いずれも1ラウンドでフィニッシュしており、レスリングの圧力から攻撃に転じた時の破壊力は示してきた。
ただし、UFC以前の3勝だけでヘビー級の未来を断定することはできない。
相手のレベル、試合時間、打撃を受けた時の対応、長期戦になった時のスタミナ。
まだ見えていない部分は多い。
特にスティーヴソンのMMAキャリアは、いずれも短時間決着だった。
長いラウンドを戦った時のペース配分、被弾後の反応、組みに入れない時間帯の打撃対応は、まだUFCレベルでは十分に確認されていない。
今回のデビュー戦は、レスリングエリートとしての肩書きだけでなく、MMAファイターとしてどこまで形になっているのかを測る最初の試金石になる。
相手はイライシャ・エリソン
UFCデビュー戦の相手となるイライシャ・エリソンは、5勝2敗のヘビー級ファイターだ。
エリソンは勝利のすべてがフィニッシュで、4KO/TKO、1一本。
判定勝ちはなく、試合が早い段階で動くタイプといえる。
一方で、UFCデビュー戦ではブランド・ペリチッチ(Brando Pericic)に1ラウンドKO負けを喫しており、今回がUFCでの立て直しの一戦にもなる。
スティーヴソンの名前が大きいため、この試合はどうしても「五輪金メダリストのデビュー戦」として語られやすい。
しかし、エリソンにとっても大きなチャンスであることは間違いない。
相手は五輪金メダリスト。
UFCが将来のスター候補として見ている可能性の高い選手であり、海外のオッズ上でもスティーヴソンが大きく支持されている。
だからこそ、エリソンがここで勝てば、一気に名前を上げることができる。
エリソンに求められるのは、序盤から簡単に組ませないことだ。
スティーヴソンに距離を詰められ、腰を触られ、テイクダウンを奪われれば、試合は一気に苦しくなる。
逆に、打撃でプレッシャーをかけ、レスリングに入るタイミングをずらすことができれば、スティーヴソンのまだ見えていない部分を引き出せる可能性がある。
問われるのは“レスリングの強さ”よりMMAへの変換
スティーヴソンのレスリングが強いことは、すでに証明されている。
問題は、それをMMAでどこまで使えるかだ。
レスリングでは、相手を倒し、コントロールし、ポイントを奪うことが目的になる。
一方、MMAでは打撃があり、ケージがあり、関節技や絞め技もある。
タックルに入る前にパンチを被弾するリスクもあれば、倒した後にガードから仕掛けられる危険もある。
特にヘビー級では、一発の被弾で試合が終わる。
どれだけレスリングで優位に立てる選手でも、打撃への対応が甘ければ危険はある。
スティーヴソンがUFCで本当に上位を狙うなら、テイクダウンだけでなく、打撃の入り口、ケージレスリング、トップからの削り、立ち上がられた後の再アタックまで、MMAとしての連結が必要になる。
エリソン戦で見たいのは、単に「倒せるか」だけではない。
どの距離から組みに入るのか。
打撃をどう使ってテイクダウンにつなげるのか。
トップを取った後に、どれだけ冷静に相手を削れるのか。
五輪金メダリストとしての素材を、UFCのヘビー級で通用する形に変換できているかが問われる。
ジョン・ジョーンズとの関係も注目材料に
スティーヴソンをめぐっては、ジョン・ジョーンズとの関係も注目されている。
スティーヴソンは、ジョーンズとそのチームが拠点とするニューメキシコでMMAへの適応を進めてきたと報じられている。
UFC契約発表時にも、ジョーンズの隣に座る形で紹介されており、両者の関係はデビュー前から大きな注目材料になっている。
もちろん、ジョーンズと練習しているからといって、すぐにUFCで成功できるわけではない。
だが、スティーヴソンにとって、MMAへの適応を進めるうえで、最高レベルの経験を持つ選手から学べる環境は大きい。
レスリングで圧倒するだけではなく、打撃、間合い、フェイント、ケージ際の攻防まで、どれだけ総合格闘技として形にできているのか。
UFC 329では、その成長の一端が見えることになる。
プレリムでも大会全体の注目カード
UFC 329は、マクレガー vs ホロウェイ2に大きな注目が集まる大会だ。
しかし、ゲイブル・スティーヴソンのUFCデビューは、プレリムだからといって軽く扱えるカードではない。
東京五輪金メダリストが、ヘビー級でUFCに参戦する。
これは通常の新人デビューとはまったく違う文脈を持つ。
スティーヴソンが期待通りの強さを見せれば、UFCヘビー級に新たなストーリーが生まれる可能性がある。
一方で、UFCデビュー戦は期待だけで乗り切れる場所ではない。
エリソンがその流れを止めるのか。
それとも、スティーヴソンがレスリングエリートとしての実力をオクタゴンでも証明するのか。
UFC 329のプレリムで、ヘビー級の今後を占う重要なデビュー戦が行われる。



