UFC公式スタッツで見るマクレガー vs ホロウェイ2 一発のマクレガーか、積み上げるホロウェイか

UFC 329のメインイベント、コナー・マクレガー(Conor McGregor) vs マックス・ホロウェイ(Max Holloway)2は、名前だけで大きな注目を集める一戦だ。
両者はかつて対戦しているが、今回の再戦を見るうえで重要なのは、過去の因縁だけではない。
UFC公式スタッツを見ていくと、この試合にはっきりした構図が浮かび上がってくる。
マクレガーは、短い時間で試合を動かす破壊力を持つ選手。
ホロウェイは、長い時間をかけて手数を積み上げていく選手。
数字で見ると、この違いは明確だ。
基本データ
項目 | コナー・マクレガー | マックス・ホロウェイ |
|---|---|---|
通算戦績 | 22勝6敗 | 27勝9敗 |
UFC戦績 | 10勝4敗 | 23勝9敗 |
身長 | 5フィート9インチ(約175cm) | 5フィート11インチ(約180cm) |
体重 | 155ポンド(約70.3kg) | 155ポンド(約70.3kg) |
リーチ | 74インチ(約188cm) | 69インチ(約175cm) |
スタンス | サウスポー | オーソドックス |
年齢 | 37歳 | 34歳 |
まず体格面を見ると、身長はホロウェイが5フィート11インチ(約180cm)、マクレガーが5フィート9インチ(約175cm)となっている。
ただし、リーチではマクレガーが74インチ(約188cm)、ホロウェイが69インチ(約175cm)。
その差は5インチ、約12.7cmある。
身長ではホロウェイが上回る一方で、リーチではマクレガーが優位。
これは、スタンドの距離管理において重要なポイントになる。
マクレガーはサウスポー、ホロウェイはオーソドックス。
構えが逆になるため、前手の位置、外足の取り合い、左ストレートをどの距離で当てるかが試合の鍵になりやすい。
マクレガーにとっては、自分の左を当てられる距離を作れるか。
ホロウェイにとっては、マクレガーの得意な一発の距離に長く付き合わず、自分のテンポに持ち込めるか。
まずここが、数字を見る前から重要なポイントになる。
UFCでの経験値はホロウェイが圧倒的
UFCでの戦績を見ると、マクレガーは10勝4敗。
内訳は8KO/TKO、2判定勝ちとなっている。
一方のホロウェイは23勝9敗。
内訳は11KO/TKO、2一本、10判定勝ちだ。
UFCだけの試合数で見ると、マクレガーは14試合、ホロウェイは32試合。
ここには大きな差がある。
マクレガーはUFC史に残るスターであり、タイトル戦やビッグマッチを数多く経験してきた選手だ。
ただし、UFCで積み上げてきた試合数という意味では、ホロウェイの方がかなり多い。
ホロウェイはフェザー級のトップ戦線で長く戦い、ライト級でも強豪と対戦してきた。
試合が長引いたときの対応力、展開を作り直す力、ラウンドを重ねながらペースを上げる力は、数字にも表れている。
平均試合時間はマクレガー8分2秒、ホロウェイ16分39秒
象徴的なのが、平均試合時間だ。
項目 | マクレガー | ホロウェイ | UFC平均 |
|---|---|---|---|
平均試合時間 | 8分2秒 | 16分39秒 | 9分41秒 |
UFC平均が9分41秒であることを考えると、マクレガーは平均より短い時間で試合を終える傾向があり、ホロウェイはかなり長く戦う傾向がある。
これは単純に「マクレガーは早く終わらせる」「ホロウェイは長引く」というだけの話ではない。
マクレガーは序盤から試合の流れを大きく動かす力を持つ。
特に左の一撃、カウンター、相手が前に出てきた瞬間の打撃は、キャリアを通じて大きな武器になってきた。
一方のホロウェイは、序盤に相手の攻撃を見ながら、手数と距離感で試合を自分のものにしていくタイプだ。
長い試合時間は、ホロウェイが多くのラウンドを戦い、相手を削り、最後までペースを保ってきたことを示している。
この試合は、時間が経つほどホロウェイの土俵に近づく。
逆に、早い段階で大きな場面を作りたいのはマクレガーだ。
15分あたりのダウン奪取数ではマクレガーが大きく上回る
打撃スタッツで最も目を引くのは、15分あたりのダウン奪取数だ。
項目 | マクレガー | ホロウェイ | UFC平均 |
|---|---|---|---|
KD Avg.(15分あたりのダウン奪取数) | 1.73 | 0.34 | 0.29 |
ホロウェイもUFC平均を少し上回っている。
しかし、マクレガーの数字はそれを大きく超えている。
UFCでのノックダウン数でも、マクレガーは13回、ホロウェイは12回。
UFCでの試合数はホロウェイの方がかなり多いにもかかわらず、ノックダウン数ではマクレガーが上回っている。
ここに、マクレガーという選手の危険性がある。
ホロウェイは手数で相手を削る。
マクレガーは一発で試合の空気を変える。
数字で見ても、その違いははっきりしている。
手数ではホロウェイが優位
ただし、1分あたりの有効打命中数ではホロウェイが上回っている。
項目 | マクレガー | ホロウェイ | UFC平均 |
|---|---|---|---|
打撃命中率 | 49.8% | 48.1% | 42.0% |
SLpM(1分あたりの有効打命中数) | 5.32 | 6.91 | 2.50 |
命中率ではマクレガーがわずかに上回るが、実際に積み上げる打撃数ではホロウェイが上回っている。
これはかなり重要だ。
マクレガーが狙うのは、試合を決定づける一撃。
ホロウェイが狙うのは、ラウンド全体を支配する手数と圧力。
判定まで見据えた長い展開になれば、ホロウェイの手数は大きな武器になる。
一方で、ホロウェイが前に出て手数を増やすほど、マクレガーのカウンターが生きる場面も出てくる。
この試合の打撃戦は、単純な「打ち合い」ではない。
一発の質と、手数の量がぶつかる試合になる。
被弾の少なさとディフェンスではホロウェイがわずかに上
ディフェンス面を見ると、ホロウェイの方が少し良い数字を残している。
項目 | マクレガー | ホロウェイ | UFC平均 |
|---|---|---|---|
有効打ディフェンス | 54.2% | 58.6% | 58.0% |
SApM(1分あたりの被弾数) | 4.66 | 4.61 | 2.50 |
大きな差ではないが、ホロウェイの方がわずかに被弾を抑え、ディフェンス率でも上回っている。
ただし、ここで注意したいのは、ホロウェイは非常に多くの打撃戦をこなしてきた選手だということだ。
被弾数だけを見ると、決して少ないタイプではない。
それでも、長い試合を戦い抜く耐久力、リズムを崩さない強さ、試合中に修正する力がある。
マクレガーにとっては、ホロウェイに長くペースを作らせないことが重要になる。
ホロウェイにとっては、マクレガーの一撃をもらわず、徐々に自分のペースへ持ち込むことが必要になる。
有効打の内訳から見える違い
有効打の部位別割合を見ると、両者の攻撃の使い方にも違いがある。
ターゲット | マクレガー | ホロウェイ |
|---|---|---|
頭部 | 70.0% | 64.7% |
ボディ | 17.0% | 24.4% |
脚 | 13.0% | 10.9% |
マクレガーは頭部への打撃比率が高く、ホロウェイはボディへの配分がより多い。
この数字は、試合の組み立てを考えるうえで興味深い。
マクレガーは相手の頭を狙い、一撃で流れを変える場面を作りやすい。
一方のホロウェイは、ボディにも打撃を散らしながら、長い時間で相手を削る戦いに持ち込みやすい。
ポジション別の有効打を見ると、ホロウェイは離れた距離での打撃が88.2%と高く、マクレガーは離れた距離での打撃が77.0%、グラウンドでの打撃が12.9%となっている。
ポジション | マクレガー | ホロウェイ |
|---|---|---|
距離 | 77.0% | 88.2% |
クリンチ | 10.2% | 6.7% |
グラウンド | 12.9% | 5.1% |
ホロウェイは離れた距離で手数を積み上げる傾向が強い。
マクレガーは離れた距離の打撃だけでなく、クリンチやグラウンドでの打撃も一定の割合を持っている。
グラップリングが勝負の中心になる可能性は高くないが、数字上の差はある
グラップリングの数字を見ると、両者ともレスリング主体の選手ではない。
項目 | マクレガー | ホロウェイ | UFC平均 |
|---|---|---|---|
テイクダウン成功率 | 55.6% | 53.3% | 45.0% |
TD Avg.(15分あたりのテイクダウン数) | 0.67 | 0.23 | 1.93 |
テイクダウンディフェンス | 66.7% | 81.4% | 55.0% |
Sub. Avg.(15分あたりのサブミッション試行数) | 0.13 | 0.28 | 1.06 |
テイクダウン成功率は、マクレガーが55.6%、ホロウェイが53.3%。
ここはほぼ互角だ。
ただし、15分あたりのテイクダウン数では、マクレガーが0.67、ホロウェイが0.23。
マクレガーの方がやや多くテイクダウンを記録している。
一方で、テイクダウンディフェンスではホロウェイが81.4%、マクレガーが66.7%。
防御面ではホロウェイの方が高い数字を残している。
サブミッション平均は、マクレガーが0.13、ホロウェイが0.28。
ここも大きな差ではないが、ホロウェイの方がわずかに上回る。
とはいえ、この試合の中心はやはりスタンドだろう。
グラップリングの数字は、勝負の主軸というより、打撃戦の流れを変えるための要素として見た方がいい。
クリンチ、ケージ際、スクランブルの場面でどちらが主導権を取るか。
そこが打撃の展開にも影響してくる。
データが示す試合の構図
公式スタッツを見ると、この試合の構図はわかりやすい。
マクレガーは、リーチ、命中率、ダウン奪取率に強みがある。
ホロウェイは、UFCでの経験、平均試合時間、手数、ディフェンス、テイクダウンディフェンスに強みがある。
つまり、マクレガーが勝負したいのは、試合がまだ整いきっていない早い段階だ。
一撃で相手を止める力は、このカード最大の危険要素になる。
一方のホロウェイは、時間を使ってマクレガーの爆発力を削りたい。
手数を増やし、距離を動かし、ラウンドを重ねながら自分のペースに持ち込めれば、ホロウェイの強さが出やすくなる。
マクレガーの一発か。
ホロウェイの積み上げか。
UFC公式スタッツは、対照的な武器を持つ2人の戦いであることを示している。

